開進丸
4月17日予報に反して
「南風が、やや強く吹いてくるでしょう」
先日の天気予報では、そう言っていた。
実際は、予報に反して、ベタ凪の海だった。
南風なんて、吹いてこなかった。
天気予報が外れて、悔しい思いばかりしてきたが、今日は気持ち良い日になった。
魚探に出てくるベイト反応を、追い掛けて竿を出していく。
潮は、緩い下り潮が、南東に流れている。
今日の最初のアタリは、小牧さんに来た。
ニベが、上がってきた。
野崎さんにも、アタリが来た。
チダイが、上がってきた。
取り敢えずは、一枚の釣果が出た事で、ホッとした気分。
続けて、竿を出していくと、突然、目の前でナブラがたった。
カンパチみたいな、茶色の魚が見えた。
ナブラを見て、仕掛けを回収しようとした、野崎さんにアタリが来た。
「来た、来ました」
ラインが円を描くように、海中の魚の動きを伝えている。
やがて、海中に姿が見えてきた。
「ハガツオです」
2キロクラスのハガツオが、上がってきた。
「嬉しいです」
野崎さんの笑顔が輝く。
小牧さんにも、アタリが来た。
今度は、ラインが船から離れて、沖に出ていく。
「えらい走るな」
ゆっくりと、ラインを回収していく。
これも、2キロクラスのハガツオだった。
「次は、真鯛が欲しいですね」
狙いの魚が釣れると、目標は次に移っていく。
真鯛狙いに切り替えた仕掛けに、真鯵がヒットして来た。
ニベもヒットしてきた。
狙いの真鯛が、なかなかヒットしてこない。
針掛かりしてきた小型の鯵を生き餌にしていると、野崎さんにアタリが来た。
竿が思いっきり突っ込んで、強くアワセを入れる。
生き餌釣りの醍醐味が、強いアワセだろう。
良型のマトウダイが、上がってきた。
「これは、良い魚がヒットしてきた」
マトウダイを見て、船上が賑やかになった。
風が北東に変わってきた。
船が流れる方向が、変わってきた。
風に合わせる様に、流し始めの位置を変えていく。
カタクチイワシがベイトになっているベイト反応が、急に盛り上がり始めた。
「良い感じのベイト反応が出ていますよ」
野崎さんに、アタリが来た。
強い引きを見せて、ハガツオが上がってきた。
小牧さんにも、同時にアタリが来たのだが、針が折られていた。
「何が来たのかな…」
ダブルヒットにならずに、チョット悔しい。
小牧さんに、アタリが来た。
良型の真鯵で、30センチは超している。
船首に立って、竿を振っている野崎さんに、強いアタリが来た。
「突っ込みますね」
青物みたいな突っ込みを、見せている。
一瞬、「鰤かな」と、期待を持った。
姿を見せたのは、ハガツオだった。
このハガツオ、何かに噛み付かれている。
胴体に、大きな傷が3カ所付いている。
「鮫かな」
「大きなサワラかな」
「傷口が大きいですね」
ハガツオに付いていた傷跡に、色々と想像する。
このハガツオを締めに、今日は少し早めに納竿とした。
後半は、ハガツオが続けてヒットしてきた。
その走りは、鋭くて楽しい時間になった。