開進丸
１２月２５日雨が降り出す前に
天気予報では「午後からは雨が降る」と。言っていた。
「午前中勝負で行きますか」
お客様に連絡して、出船の準備をする。
早朝の海は、北東の風がやや強く吹いている。
波、ウネリも北東から寄せてきている。
「今日は、少しでも早く釣果を上げたい」
何時頃まで、竿を出せるかはっきりしない天気だけに、少々焦りに似た気持ちがある。
昨日、ベイト反応が良かったポイントに入る。
広峯さん、横山さんが竿を出して、アタリを探る。
「なかなかバイトが出ませんね」
北東の風に流される速さが、０．７ノット前後になっている。
「下潮が動いていないみたいですね。ジグが抜ける感覚があります」
今日も、動かない下潮に苦戦するのかな…。
広峯さんにアタリが来た。
ベイト反応のある海底付近を丁寧に探って、アタリを捉える。
竿先を叩く、真鯛のアタリ。
「塩焼きサイズですね」と、笑顔。
しかし、この後は白波が立ち始め、波も高くなってきた。
「内場に入りますね」
船を移動する。
内場に入る手前に、ベイト反応が出ている。
「出てきましたね。ベイト柱ですね」
横山さんにアタリが来た。
ガンゾウヒラメが、ヒットしてきた。
船を流していくと、竿先が引っ張られるアタリが出てくるのだが、なかなか針に乗らない。
「アタリが渋いですね」
お二人の竿先を見ていると、ゴツゴツと何かがバイトしてくる。
横山さんが、タイミングを合わせてアタリを捉えた。
ガンゾウヒラメが、続けてヒットしてきた。
我慢を強いられる時間のようだ。
今度は、広峯さんが強いアタリを捉えた。
今日一番の、強いアタリが来ている。
時折、ドラッグ音も鳴っている。
「青物かな…」
慎重に、やり取りを楽しむ。
やがて、海面に大きな真鯛が姿を見せた。
６２センチ、２．７キロの雄の真鯛。
「良いバースデープレゼントになりましたね」
船上に笑顔が輝く。
ベイト反応を探して、船を流していく。
盛んに、バイトが出てくる。
しかし、潮の動きの悪さが影響しているのか、針になかなか乗ってこない。
時折、小鯛やガンゾウヒラメが、ヒットしてくる。
「良い感じのベイト反応があるんですけどね…」
「釣りは潮次第」
仲間達と話するときに、この言葉が最近よく出てくる。
雨雲が近づいて来る昼過ぎまで、頑張って竿を降り続ける。
しかし、雲行きが怪しくなってきた昼過ぎに、納竿とした。
