開進丸
12月24日クリスマスプレゼントかな
大島や猪崎鼻の岩場には、波飛沫が上がっている。
「ウネリが落ちていないのかな」
そんな思いで、船を走らせていた。
「行けるんじゃないか」
良く見ると、岩場の波飛沫は高いが、ウネリそのものはそんなに大きくは無い。
大島の表に出てみると、波長の長いウネリは寄せてくるが、波は北西の風に押さえられている。
「これなら、深場にも行けますね」
まずは、ベイト反応の有りそうなポイントから、入ってみる。
潮色は、青黒い感じの上り潮。
ベイト反応も、まずまずと言った具合に出ている。
釣りを開始した、一投目。
サンタさんに、アタリが来た。
ヒット直後は、鋭い突っ込みを見せていた。
「もしかしたら、ニベかも」
巻き上げ途中から、余り抵抗する様子が無くなった。
2キロクラスのニベが、上がってきた。
「出足はまずまずですね」と、笑顔が出る。
船首では、蔵屋さんにもアタリが来ている。
これも、2キロクラスのニベだった。
ニベが連発したところで、ポイントを移動する。
移動途中に、思わぬベイト柱が出てきた。
「良い感じの反応が出ています」
大きなベイト反応に向けて、仕掛けを落としていく。
蔵屋さんに、強いアタリが来た。
重々しい走りが、その獲物の大きさを知らせている。
「大きいみたいですね」
「なかなか上がってきませんね」
ラインを巻き上げては、走られる。
ゆっくりと、時間を掛けて浮かしに掛かる。
大きな、ニベが浮いてきた。
その重さを量ると、10キロを超していた。
「10キロ越えの釣果は初めてです」
蔵屋さんが笑顔で、ニベを掲げる。
「クリスマスプレゼントですね」
笑顔で祝福する。
その後も、ニベがポツポツと当たってくる。
サンタさんにも、2キロクラスのニベがヒット。
「今日は、ニベ祭りかな」
船上に、笑いが広がる。
「ポイントを変えてみましょうか」
干潮の潮止まりでもあったので、深場に移動する。
移動したポイントには、良い感じのベイト反応が出てきた。
ベイトの正体は、35センチクラスの真鰺だった。
ウッカリカサゴもヒットしてきた。
しかし、昼過ぎて潮の様子が変わってきた。
アタリが来るのだが、食い込みが悪くなってきた。
大アタリが来て、竿先が突っ込むのだが、針が外れる。
「今のは、大きかったですね」
「真鯛みたいに感じましたけど…」
仕掛けを触ってみると、下潮の水温が下がっている様に感じる。
ベイト反応の中を流しても、アタリが段々と渋くなってきた。
「引き上げますか」
潮の変化に見切りを付けて、帰港した。
10キロクラスのニベは、久し振りの様な気がする。