開進丸
11月10日子供釣り師頑張る
水平線から、お日様が顔を出す。
「今日も、気持ちよく釣りが出来ますように」と、手を合わせる。
天気予報通りなら、午前中には風が収まるはずだが…。
海上では、北西の風がやや強く吹いていた。
風の強さや、ウネリの高さ等変化する気象状況には、細心の注意を払う。
特に今日は、お父さんと一緒に、ちびっ子釣り師が乗船している。
「船長、今日はよろしくお願いいたします」と、元気良く朝の挨拶を頂いた。
石川さん親子、息子の幸人君が大活躍を見せる。
ポイントに入ると、直ぐにベイト反応を調べる。
「良い反応が出ていない」
船を回しながら、魚探の反応に注視する。
Eさん、石川さん親子と、楽しく竿を出していく。
初船釣りの幸人君が、お父さんからリールの扱いの手解きを受けている。
幸人君の仕掛けには、より多くのアタリが来るようにジグサビキを付ける。
そのジグサビキに、小鰺のアタリが来ては、「来たー!」と釣りを大いに楽しんでいる。
強いアタリが来たときは、お父さんが手助け。
幸人君を抱きかかえる様にして、リールを巻き上げる。
幸人君の最初の釣果は、イトヒキアジだった。
「僕が釣ったよ」と、大喜びの笑顔が可愛い。
幸人君のお父さんにも、釣りに専念して頂きたく、幸人君の世話は私が引き受ける。
慣れない竿とリールの扱いに、時折、バックラッシュが起きるが、何とかして解いていく。
船首では、Eさんが大当たりをとらえている。
竿先が、海面に突き刺さる位の強い引きだ。
「多分、カンパチです」
無事に、2キロクラスのカンパチが上がってきた。
幸人君が、Eさんに変わって、はいポーズ。
2キロを超すと、カンパチの力強さが倍増する気がする。
今度は、幸人君に強いアタリが来た。
「来た!おおー、引くよ」
私が竿に手を添えて、ラインが巻きやすいようにサポートする。
写真を撮るよりも、釣果を上げる方を優先する。
お父さんも、幸人君のお手伝い。
船上は、大賑わい。
カンパチ(ネリゴ)が上がってきた。
幸人君と、祝福のハイタッチ。
お父さんも、Eさんも大喜び。
「やったー!」と、船中が笑顔になる。
幸人君の活躍は続く。
ポイントを移動する。
魚探にベイト反応が出る。
「良いですよ」と。竿だしを勧める。
幸人君が、強いアタリをとらえた。
魚の強い引きに、前のめりになる。
幸人君は、歯を食いしばるようにしてリールを巻く。
良型のニベが、上がってきた。
写真を撮るポーズが、段々と様になってきた。
Eさんが釣り上げた、大きなイトヒキアジを持つ姿も様になってきた。
船酔いする事もなく、釣りを楽しむ。
その姿は、楽しい子供釣り師の誕生だ。