開進丸
9月19日風が強すぎ…
夜明け前の船着き場は、北の風が吹いていた。
緑地公園の雑草が、風に靡いている。
沖合の風がどれだけの感じで吹いているか、ある程度想像が付く。
「やはり、沖は無理ですね。タチウオテンヤで、頑張ってみましょうか」
船を出す前に、テンヤ仕掛けをセット。
餌の付け方も一緒に、手解きする。
金丸(旭)先生と長友さんを乗せ、ポイントに向かう。
ポイントに入って、その風の強さに「どうしよう」と、戸惑いを覚えた。
北風が岸から白波を立てて、吹き付けている。
それでも、ベイト反応がある内にと思い、お二人に竿出しを勧める。
長友さんの初下ろしの竿に、アタリが来た。
「当たっています」
竿先が、ピクピクと動いている。
「もう少し待って」
竿先の動きが、大きくなった。
「今、合わせて!」
長友さんの竿が、綺麗な弧を描いた。
「来ました。初めてタチウオを釣りました」と、嬉しそうだ。
指3本クラスのタチウオが、上がってきた。
船を流していく途中に、何度か前アタリが来るのだが、なかなか合わせのタイミングが合わない。
思いっきり、竿先が突っ込むアタリも来るのだが、餌だけが食べられている。
「合わんな…」
合わせのタイミング取りに苦戦の様子だ。
旭先生のアタリは、いきなり突っ込んだ。
竿が船縁に激しく当たる程の突っ込みだ。
「いきなり来た」
旭先生のタチウオも、指3本クラスだ。
「風がこんげ吹かんければ、もう少し当たると思うけどな…」
やはり、合わせのタイミングに、苦戦の様子だ。
魚探に小さなベイトボールが、数個出てきた。
旭先生と長友さんに、ダブルヒットが来た。
長友さんのアタリは、途中で針はずれ。
旭先生の針先には、指3本クラスのタチウオが掛かっていた。
「さあ、これから行きますよ」
と、気合いを入れるも、北風が益々強くなってきた。
港内から、風に押されて白波が立つ状態。
「どうしようか…」
本来なら、内場に行きたい処なのだが、帰りを考えると気が進まない。
アタリも、益々渋くなっている。
同じ処を流していても、釣果は伸びない。
「今日は、帰りましょうか」
苦渋の選択は、大袈裟だが…。
次回に期待して、帰港した。