開進丸
6月8日朝間詰めの潮
「強い西風が、吹いてくるかも知れませんね」
前日の雨の後に吹いてくる風を気にして、港を出た。
網に出ると、予想に反して風が、余り吹いていない。
ただ、南東からのウネリは、少々高かった。
ポイントに入って、最初に気づいたのが「ベイト反応が少ない」と、言うことだった。
それでも、ベイト反応の良い処から、流してみることにした。
潮は、緩い下り潮が、沖に払い出している。
塩田さんにアタリが来た。
良型の真鰺が、上がってきた。
最近、好調の真鰺。
目測だが、40センチ近くありそうだ。
この後も、同型の真鰺が、ヒットしてくる。
鰺のアタリの中に「チョット違う気がします」と、言うアタリが来た。
「竿先を叩きますね」
「多分真鯛ですね」
2キロ弱の、良型真鯛が上がってきた。
「朝早くから、真鯛は嬉しいですね」
塩田さんの笑顔が、朝日に輝く。
二流し目に入ると、竿が大きく弧を描いた。
「鰺ではないです」
上がってきたのは、イサキ。
イサキも、最近、好調の魚だ。
ベイト反応が、出たり消えたりしているが、イサキに鰺のアタリは続いた。
ウッカリカサゴやアヤメカサゴのアタリも、ポツポツと出てくる。
しかし、朝間詰めが過ぎると、徐々にアタリが少なくなってきた。
「朝方の潮が良いのかな」
10時を過ぎる頃には、潮の動きが悪くなってきた。
流速が0.ノット前後と、動きが鈍くなってきている。
「ポイントを変えましょう」
ポイントを変えても、ベイト反応は余り良い感じではない。
そんな中に、小さいペイとボールが出てきた。
「来ました」
塩田さんの竿が、大きく撓った。
ドラッグ音が、気持ち良い。
ゆっくりと、仕掛けを巻き上げる。
船から離れたところに、大きな真鯛が浮かんできた。
67センチ、3.3キロの太った真鯛。
御ニューのロッドで、待望の真鯛。
「いやー、嬉しいですね」
塩田さんと、ガッチリと握手する。
午後になって、潮の動きが少しだけ良くなってきた。
潮が動けば、真鰺がヒットしてくる。
だけど、アタリの数は回復してこなかった。
港に帰ると、最干潮だった。