開進丸
5月31日潮の変化
時間と共に、潮の流れが変化していった。
朝間詰めは、0.8ノット前後で北東へ流れていた。
8時を過ぎると、段々と流れが緩くなってきた。
海は、べた凪ぎ状態。
干潮の潮止まり前後には、流れが止まってしまった。
速度表示が、0.0になっている。
潮が動かなければ、少しでも動くところを探そうと、深場に船首を向けた。
なかなか、良い感じに動く潮に当たらない。
「移動しますね。上げてください」
横山さんに、そう声掛けした時、不意にアタリが来た。
「何か来ました」
仕掛けを回収途中のアタリ。
「シーラかも知れませんね」
船首方向に走った獲物が、海面でジャンプ。
「シーラですね」
1メートルクラスの、雄のシーラだった。
「よー走る」と、チョット感心する。
少しずつ深場を探っていると、風が南東に変わってきた。
白波が立つほどではないが、気になる。
深場へ向かうのを止めて、水深60メートルあたりに戻る。
ここも、ベイト反応は凄いものがある。
時には、魚探が水深を間違えるくらいの、ベイト反応がある。
そのベイト反応の中を流していく。
横山さんにアタリが来た。
時折、ドラッグ音が鳴る。
「真鯛みたいですね」
「多分、真鯛ですね」
58センチ、2.8キロの雌の真鯛。
しっかりと神経締めをして、血抜きする。
今日のアタリは、少なかった。
針掛かりして、良い感じの重量感が伝わってくるが、針外れ。
昨日からの、負の状況は変わっていない。
ただ、潮自体は、透明感のある良い色をしている。
何かのリズム変化で、食いが上がってくる気がする。