開進丸
5月3日引き味を楽しむ
最近忘れていた事がある。
海に出た時に、朝日に手を合わせる事。
「今日も、楽しい釣りが出来ますように」
と、水平線から顔を出したお日様にお願いする。
出足のアタリは、丸々と太ったエソからだった。
最初のアタリは、ガツガツと荒っぽい。
直ぐにエソだと、分かるアタリだ。
今日のお客様方も、エソの引き味に「このアタリは、あいつだ」と、苦笑い。
そんな中に、東原さんに強いアタリが来た。
上がってきたのは、2キロクラスのニベだった。
「まずは、一匹」と、笑顔が出る。
中島さんにも、アヤメカサゴ、ウッカリカサゴが続けてヒット。
「初釣りで、釣れました」と、良い笑顔だ。
今日の潮は、下り潮が0.7ノット前後で南に流れている。
しかし、下潮は上っている様で、ラインが直ぐに斜めになる。
東原さんに、アタリが来た。
ドラッグ音が鳴っている。
「これは、良い型ですよ」
真鯛独特の、竿を叩くアタリが来ている。
引き味を味わって、ゆっくりと巻き上げていく。
やがて、ピンク色の魚体が見えてきた。
78センチ、4.8キロの綺麗な雌の真鯛だ。
朝の内に、良い釣果が出た。
海上では、時間の経過と共に、北東の風が吹き始めている。
しかし、釣りに師匠が出るほどでは無い。
ポイントを少しずつ、移動しながらベイト反応を探る。
村山さんにアタリが来た。
竿先を絞り込むような、強い引きを見せている。
「ブリですね」
「ゆっくりで良いですよ」
海底近くから、なかなか浮き上がって来ない。
中島さんが、時計を見ている。
「今、20分を経過しましたね」
村山さんが掛けたブリは、なかなかの強者のようだ。
船尾の方でも、何かのアタリが来ているようだ。
やり取りの時間が、40分近くなってきた頃「見えた」と、村山さんの獲物が姿を見せた。
丸々と太ったブリが、重量感たっぷりの粘りを見せている。
「浮いた」と同時に、タモに入れる。
96センチ、7.8キロのブリが上がってきた。
「やりましたね」と、村山さんと祝福の握手。
近くでも私の仲間達が、ブリやニベを釣り上げている。
「来た!」
赤木さんの竿が、大きく曲がった。
これも、ブリの様だ。
赤木さんが、ゆっくりと確実にラインを巻き上げていく。
余りラインを出さない。
時折、ドラッグ音がなり、ラインが引き出される。
やがて、大きなブリが浮いてきた。
97センチ、8.5キロの丸々と太ったブリだ。
「自己新記録です」
赤木さんの笑顔が、輝く瞬間だ。
直ぐ後に赤木さんが、アヤメカサゴを追加。
再び、ポイントを移動する。
中島さんに、強いアタリが来た。
竿先を、ゴンゴンと叩くアタリだ。
「真鯛ですね」
真鯛の引き味を楽しむように、ゆっくりと巻き上げていく。
良型の真鯛が、姿を見せた。
67センチ、3.1キロの雄の真鯛だ。
「初釣りで、真鯛が来ました」
中島さんの、笑顔が輝く。
お祝いの握手をガッチリと交わす。
「これで、全員安打になりましたね」
皆さんの笑顔が、嬉しい瞬間だ。
港に帰るときも、仕掛けづくりの話で賑やかだった。