4月12日速い下り潮

「瀬掛かり?」

着底して、直ぐの大当たりだった。

竿も折れんばかりの、強烈な引きに耐える。

「底から引き剥がしました。後少し」

後少しで、大物の姿が見られる。

そう思った次の瞬間、リーダー10号が飛んだ。

海中でリーダーが切れる音が、ハッキリと聞こえた。

朝の潮は、濁りが入った黄緑色の下り潮。

「凄い色やな…」

流れも速くて、潟近くで1.5ノット前後で南に流れている。

沖の流れは、もっと速い気がする。

船を走らせていると、魚探にベイト反応が出る。

竹本さんが、直ぐに仕掛けを落としていく。

「何か来ました」

割とすんなり上がって来たのは、3キロクラスのニベだった。

「出足はまずまずですね」と、笑顔が出る。

次のアタリは、アヤメカサゴだった。

少しずつポイントを移動していくが、アヤメカサゴがポツポツと上がってくる。

エソも丸々とした”大物”が、ヒットしてくる。

「今日は、アタリは出ますね」

「青物がヒットしてくると嬉しいけどね」

目標の青物を目指しているが、なかなか思いは届かない。

下り潮が速い分、ポイントを直ぐに過ぎる。

何度も船を戻して、ポイントを攻めていく。

船を戻していると、潮の色が変わった。

「青い潮が入ってきましたね」

「下り潮は変わってないけど、澄み切った良い色ですね」

魚探にも、ベイトボールが出てきた。

竹本さんが、強いアタリを捉えた。

竿先を叩くアタリ。

「真鯛ですね」

62センチ、2.8キロの、良型の綺麗な真鯛が上がってきた。

「この真鯛のノッコミはまだなのかな」

体色のピンク色が、何とも綺麗だ。

この澄み切った潮の中を攻めていくと、ポツポツとアタリは出てくる。

良型のアヤメカサゴ。

サゴシが、当たってくる。

「ベイト反応が凄いですよ」

ゴマを散らしたような、ベイト反応が出てきた。

1キロ超のメジナが、ヒットしてきた。

「この反応は、メジナですね」

そのメジナを狙って、船を戻した。

仕掛けを落として、直ぐに冒頭の大当たりが来る。

竹本さんが、両手で竿を支える。

リールが壊れんばかりの強烈な引きに、ラインが出ていく。

「海底から20メートル位は浮かした筈です」

竹本さんも、私も「後少し!」と、力が入る。

しかし、神様は薄情だった。

リーダーが切られた。

チモト切れだった。

「ジグを飲み込まれちょった…」

大物を逃がしてしまった口惜しさに、暫くは力が入らなかった。

この後は、風が真東に変わり、ウネリも高くなり始めた事もあり、帰港する。

「こん口惜しさは、今夜夢に出てくる筈」

私も、口惜しい。

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