開進丸
3月23日ウネリがあるよ
船着き場に向かう早朝、電話が鳴った。
「ウネリが高いよ。何のウネリがこんげあると」
電話の主は、大磯先輩からだった。
大磯先輩からの連絡を受けて、船を出す。
沖波止の赤灯台を回ると、北東からの高いウネリが寄せていた。
「ウネリが高いですね」
金丸さん(旭先生)と、昔からの釣り仲間の長友(愛称哲朗君)さんが、心配そうにしている。
裸バエを少し出ると、波長の短いウネリに、船の揺れが大きくなる。
1,2度流してみたが、これ以上の釣り続行は無理と判断して、内場に向かう。
内場には、既に6~7隻程の船が集まっていた。
ベイト反応は、有るがアタリが出ない。
今日も、水温が下がっているようだ。
県北や志布志方面に行っている、釣り仲間からも「水温が下がって、海水が冷たい」と、連絡が来る。
下り潮も、少しは影響しているのだろうか。
条件は悪くとも、釣果を諦めるわけには行かない。
少しずつ、ポイントを変えながら、アタリを探っていく。
ウネリを覚悟で、少しずつ沖合のポイントを攻めてみる。
魚探にベイト反応は出るのだが、なかなかヒットまで行かない。
少しでも、海底に変化の有る処を流してみる。
不意に、海底から浮き上がったベイト反応が出てきた。
旭先生にアタリが来た。
「何か来ましたよ」
「このアタリは、鰺みたいですね」
良型の真鰺が上がってきた。
一匹の釣果で、それまで静かだった船上が元気になる。
哲朗君に、強いアタリが来た。
ドラッグ音が鳴り、ラインが出ていく。
「止まらない。リールが巻けない」
何とかドラッグ調整で、体制を整えようとするが、惜しくもリーダーが切られてしまった。
直ぐに仕掛けを作り直して、ベイトの中に落としていく。
旭先生と哲朗君にダブルヒット。
型の良い鰺が、連発してくる。
中には、40センチを超すような大物鰺もいる。
鰺の群と思われる処を、集中的に攻めてみる。
真鰺に真鯖が、時にダブルヒットしてくる。
鰺と鯖の合間に、カサゴもヒットしてきた。
鯖も、丸々として、脂がのっている魚体だ。
旭先生に、鰺と感じの違うアタリが来た。
ゆっくりと、魚の引きを楽しむようにラインを巻き上げていく。
白甘鯛が上がってきた。
哲朗君も「高級魚が来ましたね」と、嬉しそうだ。
しかし、今からが好時合という時に、西風が強く吹き始めた。
岸方面からの白波も、立ち始めた。
「最後の一流しにしましょうか」と、声掛けする。
締めは、旭先生に良型の真鰺、哲朗君に丸々と太った鯖の2匹掛け。
勢いを増してきた西風に、安全第一で帰港した。