開進丸
2月18日風が来るよ
大磯先輩から、連絡が来た。
「帰るよ。こっちは、北風が強く吹いちょって、白波が立っちょっど」
「そんなに吹いてますか。こっちは、そんげ無いですよ」
「朝来た時かい、波がバタバタしちょったとよ。もうすぐ、そっちに風が来るかもよ」
強く吹き始めた北東の風が、もうすぐ大島沖にも来るみたいだ。
海の様子を見ていると、北東方向からの白波が徐々に増えている。
白波も段々と増えて、ウネリも高くなり始めている。
「風が来る前に、内場近くに移動しておきましょうか」
渕上さん、岡本さんに話して、移動する。
朝間詰めを狙って最初に入ったポイントでは、アタリは出始めていた。
カメヤ釣り具宮崎(神宮)店の渕上さんのジグには、鋭い歯の噛み跡が付くアタリが来た。
続けてアタリが来る。
渕上さんのアワセが入る。
上がってきたのは、太めのアカヤガラ。
「美味しいですけどね」と、分かっていたが今回は海に帰す。
同じ、カメヤ釣り具宮崎(神宮)店の岡本さんの生き餌にも、ガツンと強いアタリが来たがアワセが上手く合わなかった。
このポイントに留まりたかったが、風とウネリを考えたら、此処は安全第一を優先する。
この移動が、嬉しい釣果に繋がる。
魚探で、ベイト反応を確認しながら、移動していく。
瀬周りに、小さなベイトボールが出ているところで、船を止める。
吹き始めている北東の風に押されながら、船を流していく。
岡本さんにアタリが来た。
上がってきたのは、イラだった。
磯の石鯛釣りで、掛かってくる。
岡本さんに、続けてアタリが来た。
今度は、竿が大きく撓って「重量感がありますね」と、良型を想像させるアタリだ。
タモの準備をしていると「こっちも来ました」と、渕上さんの声がした。
ドラッグ音が鳴り、ラインが引き出される。
腰を落として、獲物の走りに耐えている。
岡本さんも、重量感ある走りに耐えている。
ダブルヒットだ。
タモも、大物用に取り替えて、浮き上がってくるのを待つ。
「見えました」
渕上さんの獲物が浮いてきた。
「鰤です」
77センチ、4.5キロの良型の鰤だ。
北東の風が強くなって、時化気味の中から引き出した“大物ブリ”に、笑顔が輝く。
岡本さんの獲物も、もうすぐ上がってきそうな気配だが…。
「あっ…外れた…」
あと一歩の所で、針はずれ…。
「口惜しいですね」
それ以上は、言葉にならない。
「もう一流し」と思うが、風が一段と強くなってきた。
ここは、安全第一「内場に入りましょう」と、移動する。
移動して、ベイト反応の出ているところから、船を流す。
岡本さんの、生き餌にガッガッと強いアタリが来る。
8号のハリスが、一発で切られる。
「ハリスを12号に上げます」
直ぐに、仕掛けを作り直しする。
渕上さんにも、アタリが来た。
良型のイトヨリダイが、上がってきた。
しかし、この後、潮止まりと重なり、エソが連発するようになってきた。
ポイントを移動しても、アタリが来ない。
大物を取り、大物に切られと、一喜一憂。
「次は、取りましょう」と、口惜しい思いを残して帰港した。