開進丸
2月2日どんげすれば良い
朝間詰めが過ぎると、風が北東に変わった。
しかし、これまでの北東の風の印象ではなく、海が落ち着いた風になっていた。
「今日は、良い釣り日和になったですね」と、塩田さん。
「暖かくなってきましたね」と、蔵屋さん。
今日の釣果は、お二人の頑張りが結果となった。
ポイントに入って、直ぐに釣りを開始する。
一流し目から、アタリが連発する。
塩田さんに、良型のガンゾウヒラメが来たのが、口切りとなった。
「今度は、瀬掛かりかな…。いや、重たいけど上がってきますね。魚かな…?」
竿先を見ていても、何の変化も現れない。
海中を眺めていると「あっ、見えてきた。ハタや、イヤゴハタや」
美味しそうな、良型のイヤゴハタが上がってきた。
「ハタが来たのは嬉しいですね」と、塩田さんの笑顔。
蔵屋さんにも、アタリが来た。
「真鯛みたいなアタリですね」
「だと良いんですけどね」
慎重に、ラインを巻き上げていく。
45センチ超の、良型のイトヨリダイが上がってきた。
「大きいですね」
「良い型が来ました」と、蔵屋さんの笑顔。
「何か来ました」
塩田さんの、竿が大きく曲がり、ラインが引き出されていく。
「走りますね」
「この走りは、ニベかな」
一気に、30メートル以上は、走られたようだ。
ニベと思いながら海中を眺めていると、なにやら赤い魚が見えてきた。
「真鯛ですよ」
「やった、真鯛が来た」
68センチ、3.4キロの、見事な雌の真鯛が上がってきた。
直ぐに、神経締めをして、血抜き処理をする。
「良かった、母の誕生祝いが出来る」と、大喜びの塩田さん。
この後も、蔵屋さんにレンコダイ、塩田さんにウッカリカサゴがヒットしてきた。
一流し目が終わらない内に、色々なアタリが連発してきた。
しかし、ここから潮が変化していく。
二流しに入ると、潮の流れが真北方向に変わってきた。
「上り潮がハッキリしてきた」
そう思ったが、船がゆっくりと回り始めた。
「上潮だけが流れて、下潮が動いていない気がします」
お二人が、同じ事を言われる。
潮汐を見ると、干潮の潮止まり前になっている。
「どんげしますか」
「どんげすれば良いかな…。最近の潮の感じとして、満ち潮が動き出すまで我慢しましょう」
「それしかないですかね」
「潮は、どうにも成りませんよ。兎に角待ちましょう」
「満ち潮が動き出せば、アタリが出る」と信じて、次のポイントへ移動する。
1時間ほど、潮が動くのを待ち続けた。
「ベイト反応が変わってきました。良い反応になっています」
海底から30メートル近くまで、ベイト反応が上がっている。
塩田さんにアタリが来た。
30センチ超の、真鰺がヒットしてきた。
レンコダイが連発してきた。
蔵屋さんにヒットしてきた鰺が大きかった。
2枚目の写真の真鰺は、40センチを超していた。
「凄い大きな鰺ですね」
ベイトの正体は、この大きさの鰺のようだ。
青物を期待していたら、塩田さんにアタリが来た。
「元気の良いアタリが来ました」
53センチ、1.9キロの雌の真鯛がヒットしてきた。
満ち潮が入り始めて、魚の活性が少しだけ上がってきたようだ。
「ポイントを変えましょうか」
「そうですね。移動しますか」
同じ処を何度も流したくはない。
3~4回流したら、ポイントを変えたいと、いつも思っている。
でも、アタリが続くときは、気持ちが揺れ続ける。
ポイントを南に移動するために、暫く走った。
移動したいと思ったポイントには、漁師さんが入れた網のブイが何カ所か浮いていた。
「網だらけですね」
また、別のポイントに移動した。
移動して、すぐに魚探を確認する。
ベイト反応が、海底から少し浮いている。
釣りを再開して、一投目に塩田さんにアタリが来た。
良い引きを見せてくれたのは、ヘダイだった。
ネットで塩田さんが調べたら「真鯛に負けない美味しさ」と、書いてあった。
塩田さんのラストスパートは、凄かった。
40センチクラスの真鯛、オオモンハタとウッカリカサゴのダブル。
釣りの途中では「動かん潮に、どんげすれば良いかな」と、悩む時間もあった。
しかし、お二人の頑張りが、好釣果に繋がった。