12月29日風が吹きません様に

雲間から上がる朝日を見ながら、船を走らせた。

「風が有るかな」と、脇坂さん。

朝日に手を合わせ「釣りが出来ますように」と、塩田さん。

風が吹かない事を祈って、ポイントへと向かった。

最初のポイントは、良いベイト反応がなかった。

潮の動き自体は、上り潮が0.8ノット前後で、ゆっくりと北東に流れている。

「良い感じに思うんですけどね」

思う様なアタリが出ないまま、貴重な朝間詰めの時間が過ぎていく。

「あっ、イルカだ」と、塩田さんの声がした。

周りを見回すと、至る所でイルカの姿が確認できる。

「こりゃ…ダメだ…」

直ぐに、ポイントを移動する。

「イルカは付いてきてないですよね」

「大丈夫ですね」

此処のポイントには、良い感じのベイト反応がある。

脇坂さん、塩田さんの竿に、太った鯖がヒットしてくる。

「鯖も太りましたね」

連発ではないが、良型の鯖がヒットしてくる。

「締め鯖に良いですね」

しっかりと血抜きをして、クーラーに納める。

今度は、鰺子を使って泳がし釣りをしてみる。

塩田さんの泳がし釣りに、どんな大物が来るか楽しみ。

最初のアタリは直ぐに来たが、餌だけとられた。

直ぐに鰺子を付け替える。

着底して暫くすると、鰺子が暴れ出した。

竿先が突っ込んだ。

「来た!」

強いアワセが入った。

相手が一気に走った。

写真を撮ろうと、カメラを構えた次の瞬間「あっ…」と、塩田さんの声がした。

ラインが着られた…。

16号にしていたリーダーが飛んだ。

「根魚だったと思います」

大きなハタだったかも知れない。

気持ちを入れ替えるため、ポイントを移動する。

移動しながらも、魚探からは目を離さない。

「良い感じのベイト反応があります」

ベイト柱が出来ている。

お二人が、直ぐにジグを、落としていく。

「来た!」と、塩田さん。

竿先を叩くアタリ。

「良い感じで引きます」

やがて姿を見せたのは、真鯛だった。

1キロクラスの雌の真鯛。

「綺麗な色をしてますね」

「鯖でなくて良かったです」と、塩田さんの笑顔。

この後は、昼過ぎから吹き始めていた北西の風が、強くなってきた。

潟からのウネリに、白波も立ち始めた。

「引き上げましょうか」

帰る途中で、サゴシのナブラが湧いていた。

船着き場に帰ると、仲間の船も帰ってきていた。

釣果を聞くと「良い型の白甘鯛が釣れました」との事。

「見せてもらって良いですか」と、白甘鯛を見せてもらう。

釣り仲間の牛衛さんの釣果だ。

2キロはありそうな白甘鯛だ。

「今度は、これを釣りたいですね」

塩田さん、脇坂さんとも話が盛り上がった。