12月15日吹き止まぬ北風

今日も、早朝から強い北風が吹き続けていた。

海上は北風に煽られて、一面が白波だらけになっている。

「此処にいては、危険ですね」

沖合のポイントでは、白波が三角波になっていた。

波静かな、潟寄りの処まで戻る。

しかし、此処も北風は強く、波も高くなっている。

「何が穏やかな天気になるだ」

と、天気予報に文句を言いたい気分。

少し気持ちを落ち着けて、潮を確認する。

緩い上り潮が、北東に向かって流れている。

潮が上りの分、風と喧嘩して高い波になっている。

潟寄りでも、魚探には良い感じでベイト反応が出ている。

「良いですよ」

塩田さんと、蔵屋さんに合図を送る。

仕掛けを投入して、直ぐに塩田さんにアタリが来た。

「来た!来ましたよ」

強いアタリに、塩田さんの楽しそうな声。

いっぺん、船上が楽しくなってきた。

「多分、オオモンハタやと思う」

上がってきたのは、1キロ超のオオモンハタとチダイのダブル。

「ハタとチダイがダブルなんて、珍しいですね」

「鍋の季節だけに、オオモンハタの鍋が楽しみですね」

塩田さんの笑顔が、楽しそうだ。

船首で竿を出している蔵屋さんに、アタリが来た。

「来た。来ました」

竿先を、ゴツゴツと叩くようなアタリ。

「小型ですけど、真鯛です」

「今日のボーズはなくなりました」と、笑顔。

ベイト反応を見ながら、潟寄りのポイントを流していく。

連発とまでは行かないが、ポツポツとアタリが出てくる。

アタリの中には「このアタリは、イカですよね。多分、コウイカですよね」

海底の砂地に潜んでいるコウイカらしいアタリが、時折出てくる。

乗ったと思っても、なかなか乗せきれない。

ポツポツ出てくるアタリの中には「青物かも…」と、思われるモノもあった。

潟に寄って、直ぐに塩田さんに来たアタリ。

ドラッグ音が鳴り、鋭い突っ込みを見せたアタリ。

残念ながら、針が外れてしまったが「走り方が、青物だったかもですね」と、チョット口惜しそうだった。

益々強くなっている北風。

船の揺れも、時折大きく左右に揺れる中、蔵屋さんにアタリが来た。

これも、ドラッグ音が鳴り、ラインが出ていく。

「竿先の感じからして、真鯛ですかね」

「良い型だと思います」

やり取りも、自然と慎重になる。

やがて見えてきたのは、真鯛。

61センチ、2.4キロの綺麗な雌の真鯛。

「やりましたね。この時化の中、良型の真鯛ですね」

計量しながら、嬉しくなってくる。

蔵屋さんの笑顔が満開。

「さあ、頑張るぞ」

気持ちが盛り上がるが、風と波に治まる気配がない。

天気予報を再確認しても、風も7メートル以上の強風になっている。

沖合にいる仲間にも、この事を連絡する。

塩田さん、蔵屋さんとも相談して「昼過ぎに上がりましょうか」と決定。

狙いのポイントには入れなかったが、まずまずの釣果に帰りに話が盛り上がった。