開進丸
12月9日此の名前は?
「明日は、どうですかね」
「どうしましょう。悩んでいます」
夜7時前の天気予報を見て、本日のお客様と、話した。
その結果「北風が強い予報だし、明日は止めときます」
お客様のこの一言で、今日の船出は中止としたが…。
朝ゆっくりと、船着き場に行ってみた。
仲間の船が、何隻か出ている。
直ぐに電話してみた。
「風は有るよ。でも、波はそんなに無いよ」
「ウネリはどうですか」
「大したこと無いよ。出てこんと」
「今日は、北風が強い予報だったのでゆっくりしていました」
「出てきないよ」
船の燃料を給油して、午前9時過ぎに船を動かした。
目指す処は、船仲間の大磯先輩の行っているポイント。
いつも、鰺子を頂く富田さんも行っている筈だ。
ポイントに着くと、大磯先輩の船が一隻だけで流していた。
「富田さんは何処に行きました」
「大島の方に行ったよ」
「何か釣れました」
「一匹だけ釣れたけど…。名前が分からん」
「どんな魚ですか」
「色が濃い茶色で、コロダイの様な感じで、口が尖っている初めて見る魚」
「斑点が有ります」
「有るような気がする」
「こん魚の名前は何やろかいな」
港に帰って、見せてもらうことにした。
本命の、釣りの方はと言うと…。
スローでしゃくっていたら、突然強いアタリが来て、12号リーダーが飛ばされた。
「何ヤッタ?」
次を準備しようと思ったが、風が急に真東に変わった。
急に変わる風は、余り良い感じではない。
昼を過ぎたし、帰ろうかなと港に向かう。
途中で、富田さんの船が見えた。
私の船にも来てくれる、岡本さんが一緒に乗っている。
「釣れました?」
「カンパチが釣れました」
岡本さんが嬉しそうに、カンパチを掲げて見せてくれた。
「良いカンパチやね」
「群れが来たみたいで、ダブルで掛かって来ました」
「私にも来たけど、出していた3本の竿に一度に掛かって切られました」
と、富田さんが詳しく話して教えて頂いた。
暫く、お二人と話をした後に、港に帰った。
船着き場に帰ると、大磯先輩も帰って来られた。
「さっきの魚を見せてください」
クーラーの中に横たわっている。
やがて、帰ってきた富田さんも加わって「この魚の名前は何」と、考えた。
「下あごの処に髭があるよ」
この髭で、名前が大体想像着いた。
「ヒゲダイだと思います」
自宅に帰って図鑑を見てみたら、やはり「ヒゲダイ」だった。
大磯先輩に、再度連絡して「名前がハッキリ分かって良かった」と、一件落着。
明日は、曇りの予報。
でも、船を出してみよう。