開進丸
11月24日ヤッタね!
早朝から、強い北北東の風が、吹き付けていた。
風に押されて、北東からのウネリも時折高くなって、寄せてくる。
「どうしょう…」と、迷うくらいだ。
でも、今なら流せると判断。
スタートは、竿が大きく曲がる大アタリからになった。
「来ましたね」
「捕りたいですね」
何度もの突っ込みに耐えながら、少しずつ巻き上げていくが…。
何度目かの鋭い突っ込みで「ブッ…」と、音が聞こえた気がした。
リーダーが切られた。
この出来事が、堀部さん、内田さん、富吉さんの心に火を付けた。
大物に逃げられた清水さんのファイトは数倍燃え上がった。
仕掛けを作り直して、次のチャンスを待つ。
今度は、堀部さんにアタリが来た。
良い感じの引きを見せている。
「カンパチみたいですね」
「ゆっくり、捕りますよ」
上がってきたのは、2キロ弱のカンパチ。
本日最初の釣果に、堀部さんも笑顔になる。
内田さんも、富吉さんも頑張っている。
仕掛けを作り直した清水さんに、強いアタリが来た。
「来た!来たよ!」
これも、なかなかの大物のようだ。
何度も、何度もドラッグ音が鳴り響く。
「今度は、逃がさん!」
ゆっくりと、確実にラインを巻き上げていく。
「見えた。カンパチです」
「おお、大きい!」
72センチ、3.8キロの見事なカンパチだ。
「ヤッタね。楽しいね」
清水さんの笑顔が良い。
私たちの前にいる仲間の船でも、アタリが来ている。
内田さんにも、アタリが来た。
「オオモンハタでした」
チョット口惜しそう。
富吉さんは、チョット体調不良でしばらく休憩
その間に、内田さんにアタリが来た。
「重いです」
「走らないから、カンパチではないです」
ゆっくり上げてみると…
良型のウッカリカサゴが、ダブルで針掛かりしていた。
「カサゴのダブルは初めてです」と、みんなで大笑い。
船中が、一気に賑やかになってきた。
しかし、その一方で北北東の風も強さを増して、ウネリも少し高くなってきた。
「余り長くは居られませんね」
「後一流しで、移動しましょう」
仲間達の船も、移動を考え始めている。
ラスト一流しで、堀部さんにアタリが来た。
いきなりのアワセが入った。
「よっしゃ!捕るぞ」
ゆっくりと、慌てずに巻き上げていく。
「見えた。ヒラメだ」
55センチ、1.5キロの良型のヒラメだ。
「最後に良い魚が来ましたね」
「ヒラメが来た。嬉しい」
堀部さんの笑顔が、益々輝いて見える。
富吉さんも、祝福している。
「次は、私も釣りたい」
「そうや!次は頑張るよ」
この後、波静かなポイントに移動する。
サゴシが跳ねていたが、思うようにヒットしてこない。
北北東の風も止みそうではない。
「今日は、帰りましょうか」
「風が無ければ…」と、心残りもあるが安全第一で帰港した。