開進丸
10月22日風にも負けず波にも負けず…
朝間詰めは、思ったほどの波もウネリもなかった。
風は、北西の風。
「こんなチャンス、逃がすことはない」
北東の風が吹き出す前に、頑張らなくちゃ。
潮がどちらに流れるか、下り潮か上り潮か。
最近は、毎日流れが違うので、苦労させられる。
今日は、朝間詰めは「下り潮」が南に向かって流れている。
潮の速さは、0.8ノット前後と釣りやすい流れだ。
ただ「海底付近の潮が、軽くて抜ける気がする」と、上野さん、竹本さんお二人の意見。
「もしかしたら、変則的な3枚潮になっているのか」と、危惧しながら船を流していく。
上野さんにアタリが来た。
「引きはしないけど、重いだけですね」
根魚を期待したが、どうだろう。
上がってきたのは、タチウオ。
「美味しい刺身が食べられる」と、上野さん。
上野さんに次のアタリが来た。
ウッカリカサゴだった。
二流し目に入る。
竹本さんにアタリが来ると同時に、上野さんにもアタリが来た。
ダブルヒットだ。
お二人の竿が、大きく曲がっている。
良い感じのベイト反応には、何かが付いていると思ったことがアタリに繋がった。
やり取りの途中で、上野さんの獲物は針はずれ。
竹本さんの獲物が姿を見せた。
海中で銀色に光っている。
3キロクラスのハガツオが上がってきた。
潮の色も、青みが増してきたし、良い感じになってきている。
当然のように「さあ、今からだ」と、気合いが入る。
しかし、海中に大きな変化が出てきた。
「あれ…、ベイトが消えたよ…」
先ほどまで、海底から20メートル以上の立ち上がりを見せていたベイトの姿が、魚探が消えた。
何処を探しても、ベイト反応が思うように出ない。
「下潮の感じが、軽くて抜ける感じです」
下潮の動きが、無くなってきたのかも…。
下潮が、動かない潮になってしまった。
一方で、潮自体は徐々に、上り潮に変わりつつある。
北方向に、移動して、船を流す。
「下潮が、絡んでいます」と、お二人の声。
すると、上野さんにアタリが来た。
「どんな感じです」
「走りますね。鯖ですかね」
秋鯖を想像していたが、上がってきたのはスマカツオ。
少し、調子が戻ってきた様な気になった。
しかし、今度は風が北から北東、そして真東へと変わり始めた。
ウネリも高くなり始め、沖合は白波だらけになってきた。
沖合になるほど、風が強く吹いているようだ。
少し浅場に、船を移動する。
上野さんにアカヤガラがヒットしてきた。
「あちゃー、アカヤガラが来ると言うことは、潮が動いていないのか…」
ちょっと、気持ちが下がり気味になる。
この気持ちを引き上げたのが、竹本さんのアタリ。
「来た。来ましたよ」
ラインが、一気に走り出した。
海底には、高い沈み瀬がある。
その周りを、一気に走った。
「あっ、切られた」
残念そうな、竹本さん。
もしかしたら、大きなカンパチかハタだったかも…。
同じような場所で、上野さんにもアタリが来た。
「良い引きします」
ゆっくりと巻き上げる。
ハガツオが上がってきた。
3キロクラスのハガツオだ。
「時合が来たかな」
そう思う反面、東風が益々強くなり、波も高くなってきた。
「内場に入りましょう」
内場にはいると、沖合よりもベイト反応が出ている。
竹本さんにアタリが来た。
上がってきたのは、アカヤガラだった。
「美味しい魚やけど…」
潮の動きが、ここも良くないようだ。
暫く頑張ってみたが、アタリも出てこない。
天気予報通り、雲も出てきた。
「天気は、下り坂ですね」
風にも負けず、波にも負けずに頑張った1日だったが、ここで納竿とし、帰港した。