開進丸
10月17日なんでかな…
「何でかな?」
今日の釣りは、こんな疑問が最後まで付いて回った。
この時期のカンパチは、絶対釣りたい。
そう意気込んで、ポイントを目指す。
船を走らせながら、海を観察していると「良い色をしているように見えるね」
今日の潮に対する、最初の感想だ。
ポイントで潮の流れを見ると、上潮は0.8ノット前後で流れている。
金丸さんが、ジグを落としていく。
「下潮は、結構行ってるね」
上潮は下っているが、下潮は1ノット以上で上っている。
二枚潮になっているのかな。
「上潮が速ければ、何らかの方法で対処できるけど、下潮が速い場合は難しいよね」
早朝の釣り開始から、こんな悩ましい会話で始まった。
それでも、今日最初のアタリが金丸さんに来た。
良い感じで、竿が弧を描いている。
「根魚かなと思ったけど、走り出したよ」
やり取りの途中で、獲物が反転しドラッグ音が鳴る。
「ゆっくりやってね」
時折、竿先が小刻みに震える。
「ハガツオかな。でも、良い型みたいだね」
タモの準備をして待っていると「あっ…」と、声がした。
「どうしたの」
「其処まで来て、外れた」
食いが浅かったのだろうか…。
風は北西の風が吹いている。
「この風に乗せて、流せる瀬周りを攻めてみましょう」
北西の風と下り潮をイメージして、流すポイントを決めていく。
この時も、強いアタリが来たが、やはり途中で針はずれが起きた。
「何で外れるかな…」
二人で、色々と原因を探る。
「気分を変えて、ポイントを移動しましょう」
次のポイントに入る、ジグに殆どアタリが出なくなった。
「なんでかな…」
鯛ラバに変えてみた。
30センチ超の真鰺や、丸々と太ってきた鯖が連続してヒットしてきた。
「この大きさの鰺、鯖なら良いよね」
鯛ラバがホールしていく途中で、当たってくる。
「仕掛けが、落ちていく前にヒットしてくる」
暫くは、鰺、鯖のアタリを楽しんだ。
そうしている内に、風が北東に変わってきた。
又しても北東の強い風に、ウネリが太り始め、波も高くなってきた。
「内場に入ろうか」
他の船も、内場に入り始めた。
内場に入り、まずはベイト探しから。
「ベイト柱があるよ」
金丸さんが、鯛ラバを落としていく。
暫くすると、大きなアタリが来た。
なかなか、上がってこない。
ゆっくりと、やり取りを楽しむようにラインを巻き上げていく。
「真鯛かな」
「カンパチかもね」
色々と、想像して楽しむ。
上がってきたのは、大きなコロダイだった。
72センチ、4.2キロと、持ちごたえがある大きさだ。
一方で、ジグには相変わらずアタリが来ない。
ベイトの中、瀬の周りと色々なところでベイトを探して攻めてみるが、ジグは不発のまま。
「なんでかな…」
納竿になるまで、ジグの不調に悩みは続いた。