10月13日潮目が来た
黒潮の潮目が、入ってきた。

青く黒みを帯びた、潮目が沖合から白波を立てて入ってきた。

朝から北風が強く吹き、潮は北に向かって上り潮が入っている。

「潮と風が喧嘩している状態」になって、ウネリは高いし、白波は三角波になっている。

ウネリが入る方向と、風が来る方向が同じで、潮の流れる方向は正反対。

「ウネリに気を付けなければ」

そんな状態で、今日の釣りを開始する。

潮の速さは1.5ノット前後と表示されているが、仕掛け自体は真下に落ちていく感じだ。

船も風に向かって流されていく。

潮全体が北に流れ、風に向かって船を流す速さを持っているのだろう。

蔵屋さんにアタリが来た。

ベイト反応が出ている中に仕掛けが入ったときにアタリが来た。

針掛かりした獲物は、真下に突っ込んでいる。

青物がヒットしたようだ。

ウネリも波も高い分、時間を掛けたくないが、慌てたら切られる。

「ゆっくり、やって下さいね」

獲物が見えてきた。

「カンパチです」

2キロクラスの、良型のカンパチだ。

「山下さんに来た」

塩田さんの声がした。

これも、青物のようだ。

ジギングの経験は、まだ浅い山下さんだが、慌てずゆっくりとラインを巻き上げている。

が、しかし…「あっ、切られた…」

リーダーの先が、縮れて上がってきた。

「又来ますよ」と、声かけする。

船を戻すのに、ウネリを警戒して大きく回り込む。

白波の中で、何かが跳ねている。

「あれ、サワラじゃないですかね。トビウオが逃げ回っていますよね」

1メートル位の、長い魚が波間に跳ねているのが見える。

マギリ船にも、サワラらしい魚がヒットしている。

2度目の流しに入る。

又しても、蔵屋さんにアタリが来た。

食べ頃サイズの真鯛が、上がってきた。

山下さんにも、アタリが来た。

ガンゾウヒラメが上がってきた。

塩田さんにもアタリが来た。

最初のアタリからドラッグ音が鳴り、竿先を叩くアタリ。

「きっと、真鯛ですね」

塩田さんのその言葉通り、上がってきたのは1.5キロクラスの良型真鯛。

「やはり、真鯛が来ると嬉しいですね」

「最近、真鯛を見てなかったので嬉しいですね」

北東の風は益々強くなるが、船中の会話は弾んでくる。

沖から、上り潮の潮目が入ってきた。

潮目が北に向かって流れ、北からは風とウネリが入ってくる。

益々、波が高くなり、三角波が船を大きく揺らしている。

山下さんにアタリが来た。

「ゆっくりで良いですよ」

慌てずに、ラインを巻き上げていく。

良型のイラが上がってきた。

塩田さんがインターネットで調べたら「美味しい魚」と書いてあった。

しかし、風と潮目がぶつかって、波が船縁に強く当たるようになった。

「当たるけど、ここは内場に避難しましょう」

蔵屋さん、塩田さん、山下さんに声かけして安全を確保する。

内場は波静かの分、アタリも静かになってきた。

そんな中でも、山下さんにアタリが来る。

アラカブ、イトヨリダイと続けてきた。

「今日の竿頭ですね」と、笑顔になる。

「小さいけど、真鯛も来ました」

真鯛を手に笑顔の山下さんだ。

この後は、勢力の衰えない風とウネリに、思うようなポイントに入れない状態が続く。

「今日はね帰りましょうか」

昼過ぎに納竿とした。