開進丸
8月5日激流の中で
「今日も、流れが速いか…」
潮自体は、上り潮が入っているので、悪い感じではない。
しかし、問題はその速さ。
「2.5ノット前後で流れています」
2度目からの着底がなかなか取れない。
鯛ラバやジグなどを重くして対応しようとするが、なかなか厳しい。
そんな中、日高さんにアタリが来た。
鯖がダブルで上がってきた。
走り回る魚だけに、尾びれにリーダーが絡まっていた。
作本さんにもアタリが来た。
ラインが相当出ている。
ゆっくりと巻き上げていくが、途中で針はずれ。
多分、鰺の口切れだろう。
船尾で竿を出していた作本さんにもアタリが来た。
ウッカリカサゴが上がってきた。
潮の速さに苦しんでいる状況の中、時折、ヨコワや鰹のナブラが船の近くで立つことがある。
キャスティングの準備をして、直ぐに対応できるようにしておく。
すると待望のナブラが湧いた。
ジャンプしているのは、3キロ~4キロクラスのヨコワが見える。
二人の作本さんが、キャストする。
「あっ…」
作本さんの声がした。
「どうした」
「切られました。新品のルアーを持って行かれました」
見ると、リーダー22号が切られている。
切り口が、激しくささくれている。
作本さんは、朝一番の釣り始めにも大物に走られて、ラインごと仕掛けを持って行かれていた。
「今日は、大きいのが来るけど、やられる…」
キャスティングしている途中には、1.5メートルは有りそうな「ヒラマサ」らしい魚体も目認している。
この熱い時間は、直ぐに過ぎてしまう。
「アタリは来たけどな…」
二人の作本さんが、悔しそうにしていた。
潮に乗せて、船を流していると、少しだけ潮が緩んでいる処があった。
「潮が1ノット前後になっていますね」
日高さんにアタリが来た。
ウッカリカサゴが上がってきた。
荒武さんにもアタリが来た。
レンコダイが上がってきた。
小型だがアタリが来始めたとき、船の周りにシーラが姿を見せた。
作本さんが、生け簀に活かしていた鯖を、餌にして流してみた。
すると、目の前でシーラがヒット。
暫くのやり取りの後、タモに治まった。
60センチクラスの、良型シーラだ。
今度は、アジゴを餌にして流してみた。
大きなシーラが、アジゴ目掛けて走っていくのが見えた。
いきなり竿が曲がった。
仕掛け自体が太い仕掛けなので、力勝負に出る。
PEは6号、リーダーは30号の太仕掛けで勝負する。
時折、ドラッグ音を響かせて、疾走する。
竿でためて、船縁に寄せる。
無事にタモに治まったのは、体長130センチ超の雌のシーラ。
卵をお腹から出していた。
朝から納竿まで、潮は激流のままだった。
「最後に、シーラと遊べました」と、笑顔で終えた一日だった。