開進丸
8月4日ナブラが湧いた
大島沖のポイントに入った。
「ベイト反応は、有ります。頑張りましょう」
いつもの感じで釣りを開始した。
ところが「流れが速えー…」と、始めから着底が取れない。
速さを確認すると、2.7ノット前後で、上り潮が流れている。
「青くて良い感じだと思ったんですけどね…」
塩田さんに「浅場に移動します」と告げて、移動する。
浅場でも、1ノット前後なのだが、今のところは着底はとれる。
船釣り初挑戦の、荻窪さんにアタリが来た。
「結構引きますよ」
引きを楽しみながら、釣り上げたのは丸々とした鯖。
「鯖が来ました」と、笑顔が朝日に映える。
しかし、その後がなかなか続かない。
沖合にいる仲間に連絡すると「流れが1ノット前後になっているよ」と、返事が返ってきた。
ならば、「私たちも沖合のポイントを攻めましょう」と、直ぐに移動する。
ポイントに入ると、「やっぱり2ノット以上有るじゃない」
塩田さん、榎田さん、荻窪さんが仕掛けを重くして、海底付近に反応が出ているベイトを攻めていく。
すると「ホール中に何か来ました」と、荻窪さん。
ラインが、ドンドン出ていく。
「大丈夫です。船で追い掛けます」
と、船で追い掛け始めると、魚がいきなり反転した。
船の真下に入ってきた。
竿でためて、走りを止めようとした時に、ラインが切れた。
「悔しいですね」
「大丈夫です。悔しい洗礼は、付き物です。また、頑張りましょう」
沖合のポイントは、余りに流れが速く、又しても、着底が取りづらくなってきた。
もう一度、浅場に戻ってみた。
すると、荻窪さんにアタリ。
鯖が上がってきた。
「今日は、鯖祭りですね」と、笑顔だ。
塩田さんにも、アタリが来た。
良型のガンゾウヒラメが上がってきた。
しかし、今度は浅場の潮が、動かなくなってきた。
今日は、浅場と沖合とを行ったり来たり。
「潮が落ち着いて欲しいですね」
そんな話をして、ベイト反応を確認しながら、ポイントを探す。
すると、突然「ナブラ!ナブラや!」と、塩田さんの声がした。
みると、ヨコワや本鰹がもの凄いナブラを起こして、海面から飛び上がっている。
全速力でナブラを目指して走る。
「投げて!」
キャスティングの準備はしていなかったので、ジグを直接投げ込む。
「来た!」
荻窪さんのジグに、飛びついてきた。
突然のナブラに、気持ちが高ぶる。
「鰹です!」
見ると、3キロ有りそうなハガツオが、海面に姿を見せた。
「ハガツオのナブラや」
海面近くの海中には、もの凄い鰯の鱗が漂っている。
暫くすると、直ぐ近くで又してもナブラが立った。
船を走らせると、目算10キロは有りそうなマグロがジャンプした。
「マグロだ!投げて!」
ナブラが立ったアタリにジグを投げ込む。
塩田さんと、荻窪さんの竿がアタリを捕らえた。
「止まりません!」
荻窪さんのリールから、もの凄い勢いでラインが出ていく。
塩田さんの竿は、真下に突っ込んでいる。
船では、追い掛けられない。
なんとか、魚を止めたい。
ドラッグ音が鳴り響く。
ドラッグを調整して、体制を整えようとしたとき、「あっ…やられた…」
荻窪さんと塩田さんのラインが切れた。
「止まりませんでした…」
暫くは、悔しい重いが手に残るだろう。
ナブラ騒動が、一段落した頃には、海中には鰯の鱗だけが漂っていた。
ポイントを変えて、釣りを再開する。
榎田さんにアタリが来た。
丸々とした、鯖が上がってきた。
「何とか、鯖が来ました」と、笑顔だ。
もっと良い笑顔は、この後だった。
「何かきました」
竿先が、鯖とは違うアタリを捕らえている。
ゆっくり巻き上げると、海中にピンク色の魚が見えてきた。
47センチ、1.3キロの綺麗な真鯛。
「良い感じの真鯛が来ましたね」
みんなで祝福する。
釣り始めは、なかなかアタリが出なかった。
「最後に、真鯛で締めが出来ましたね」と、笑顔が良い。
速い流れに苦しみ、ナブラに気持ちが高ぶった、一日だった。