開進丸
7月25日美味しいかき氷
「今日は、深場を攻めてみたい」
私の従兄弟の信司の要望もあって、100メートル以上の深場を攻めることにした。
脇坂さんと、久し振りのコンビでの釣りだ。
釣りを開始して、一流し目。
信司に大きなアタリが来た。
「来た!来たよ!」
強い引きに耐えて、ラインを巻き上げようとした時に、ラインブレイク。
「リーダーは、何号だったの」
「80ポンド」
号数で言えば、20号の太い仕掛けが、切れている。
「ラインもザラザラになっています」
大きな瀬にアタリ、切られたようだ。
ヒットした喜びと、切られたショックが入り乱れた気持ちは複雑だろう。
「大丈夫、又来るよ」
今度は、脇坂さんにアタリが来た。
「海底から、だいぶ上でしたよ」
時折、突っ込みを見せる走り。
「何だろう」
上がってきたのは、真鯛だった。
54センチ、2.2キロの綺麗な真鯛。
しっかりと神経締めと血抜きをしてクーラーへ。
「それにしても、今日の潮は速くなったり遅くなったりと変化が激しいね」
上り潮が、時には0.6ノット前後だったり、時には1.5ノット前後だったりと流れの変化が短時間で変わる。
脇坂さんに、強いアタリが来た。
「どんな感じ」
「中層アタリでヒットしましたよ」
時折、ドラッグ音が鳴り、ラインが出ていく。
「サメかな…」
尾びれが黄色い魚が見えてきた。
「鰤だ」
93センチ、7.5キロの鰤が上がってきた。
夏場の鰤だけに、検量したら直ぐに腹を割いて、内臓を取り出す。
少しでも、虫対策になれば良いのだが…。
鰤の処理をしている間に、信司にもアタリが来ていた。
キロ近い、大きいウッカリカサゴが上がっていた。
「美味しい魚が来たね」と、嬉しそうだ。
「ここらで一休みしますか」
脇坂さんが、今日の釣りの楽しみ「かき氷」を作り始めた。
「夏の暑さ対策はこれでしょう」
氷を、シャリシャリと削り、イチゴ蜜をかける。
一口食べると「おおー、冷える。生き返る」と、元気が戻ってくる。
「海上で食べるかき氷は美味しいね」
三人で、笑顔満開になる。
かき氷を食べて、気分一新したところで、釣り再開。
「あれ、速くなってる」
潮の流れが、急に速くなっている。
「どれくらいの速さですか」
「3ノットを超しているよ」
時には、4ノットを超す瞬間もある。
「300で着底が取れません」
「場所を変えよう」
浅場の方に移動する。
本当なら、150メートルアタリまで徐々に攻める予定にしていたが、この潮の速さでは釣りにならないだろう。
ポイントを移動しながら、潮目の境がハッキリしている処を通過する。
「潮が青々としているね」
潮が速いことは、覚悟してチョット仕掛けを入れてみた。
信司にアタリが来た。
ホール中に「何か来ました」
仕掛けが速い流れに乗って、斜めになっている。
「マグロの子供ですね」
ヨコワがヒットしてきた。
小さいヨコワでもあり、海に帰す。
段々と浅場に移動していくが、速い流れは止まる様子もない。
水深50メートルあたりでも、3ノット近い速さで流れている。
「上り潮は良いのだけれど、速すぎるね」
脇坂さんに太刀魚がヒットしてきた。
中層でヒットしたようだ。
沖カマスや鯖などもヒットしてくるが、全て中層から上層に掛けてのホール中。
潮目の中に入ると、チョットした時化の海みたいに船が揺れる。
シイラを見かけ、キャストするがアタリはあっても、直ぐに針はずれ。
夕方まで頑張ってみたが、走り出した上り潮は治まらなかった。