開進丸
6月22日 雨の合間に
久し振りに、船上から見る朝日は綺麗で、気持ちが良い。
予報では、昼頃から雨が降るように事も言っていた。
「兎に角、竿を出して釣りがしたい」
少々焦りにも似た気持ちを持って、港を出る。
「以外に濁りが入ってないね」
「1日間があると、潮も変わりますね」
広峯さん、脇坂さんを乗せて、潮の色を注視しながらポイントへと走る。
走行途中に出てくるベイト反応は、仕掛けを落とせばアタリが出そうな気がするくらい良い感じだ。
最初のポイントに入る。
「良い感じのベイト反応がありますよ。長雨の影響は少ないみたいですね」
広峯さん、脇坂さんが仕掛けを落としていく。
「ラインが偉い出ていくね」
「下が速いですね」
「着底はとれますか」
「3回くらいになると、難しいですね」
上は0.5ノット前後で下っているが、下は可成りな速さで上っている二枚潮になっているようだ。
「巻き上げ幅を抑えてみます」
海底付近を探っていた脇坂さんにアタリが来た。
食べ頃のウッカリカサゴ。
今度は、広峯さんにアタリが来た。
「結構引きますね」
「真鯛ですかね」
時折、強い引きを見せている。
上がってきたのは、1.5キロ超の見事な白甘鯛。
「釣りたかった魚です」と、広峯さんが嬉しそう。
二流し目に入ると、脇坂さんにアタリが来た。
上がってきたのは、この時期の本命魚のイサキ。
「良い型ですね」と、笑顔になる。
出足が良くて「頑張るぞ」と気合いが入るが、北東の風が徐々に強くなってきている。
50メートルよりも深いポイントに入ると、釣りづらい二枚潮に悩まされる。
「この二枚潮を何とか克服しなくちゃ」
そう思い、海面に目を凝らしていると、潮の色が徐々に変化していることに気がついた。
「あれ、潮の色が菜っ葉色になってきましたね」
この菜っ葉色は、水温の変化も知らせてくれる潮色だ。
それと同時に、だんだんとアタリが出なくなってきた。
周りにいた船も、色々とポイントを変えて移動を繰り返している。
「浅場を攻めましょう」
移動して、暫くすると広峯さんにアタリが来た。
両型のイトヨリダイが上がってきた。
アカハタもヒットしてきた。
しかし、本来のアタリの出方ではない。
狙いのイサキ、真鰺のアタリが来ない。
場所を移動してみた。
ベイト反応は、以外と良い反応が出ている。
広峯さんに強いアタリが来た。
上がってきたのは、大きなイトヒキアジ。
「真鯛を期待したんですけどね…」
途中では「青物かも…」との期待もしただけに、ちょっと悔しい気持ち。
脇坂さんも、ベイトの中を探っているのだが、なかなかアタリが出ないで苦戦している。
広峯さんにアタリが来た。
「竿先を叩きますね」
1キロ弱の真鯛が上がってきた。
「この前の針がはずれたのが、大きかった気がします」
何とか、真鯛がヒットして、少しはホッとした気持ちになる。
しかし、北東の風が益々強くなって、波も高くなってきた。
「今日は、帰りましょうか」
潮と潮がぶつかっている「潮の壁」も出来ているのだが、水温の低下に二枚潮と悪条件が揃っている。
朝間詰めは「何かが触る」バイトが連発しても、針掛かりしない。
または、リーダーが切られるといった、ちょっと活気を感じる時間帯も有ったが、全ては潮次第。
チョッピリ悔しい気持ちを持って、帰港した。