4月4日 今日も、凪のち時化
「今日も、昼から風が変わるかもしれませんね」

「南が入ってくるかもね」

「風が変わって。時化る前に移動しましょう」

「午前中勝負ですね」

凪のち時化に成る前に頑張ろう、と港を出る。

釣りが始まると、いつもお日様に手を合わせる。

「今日も、宜しくお願いいたします」

神頼みなのだが、真剣だ。

潮行きも上り潮が、ゆっくりと沖に払い出している。

0.5ノット前後と、ゆっくりとした速さだ。

小河さんにアタリが来た。

竿先をコンコンと叩く、良い感じのアタリだ。

食べ頃サイズの真鯛が上がってきた。

船首では、金丸さんも何かをヒットさせている。

ガンゾウヒラメが上がってきた。

良い感じのスタートかな。

釣り始めから、気になっている風が少し弱くなってきた。

「ポイントを移動してみますか」

「良いね。移動しましょう」

最初のポイントは、エソが増えてきたこともあり、ポイントを移動する。

「魚礁の形は、小山みたいに盛り上がっています」

一斉に、仕掛けを落としていく。

すると金丸さんに、直ぐにアタリが来た。

「着底して直ぐに来た」

良い感じの竿の曲がりを見せている。

「真鯛みたいね」

「そうだと良いね」

59センチ、2.3キロの良型雄の真鯛。

真鯛とのやり取りを楽しんだ、笑顔が良い。

渕上さんにもアタリが来た。

「走り回りますね」

上がってきたのは、マルソーダ。

バタバタ暴れるものだから、直ぐに血が出て、アタリ中に飛び散る。

「血抜きしましょう」と、バケツの中に入れる。

渕上さんの調子が徐々に上がり始める。

「レンコダイみたいに感じですね」

立て続けに良型のレンコダイがヒットしてきた。

潮が真北に流れ初めて、良い感じになってきたようだ。

しかし、風も北西から南東に変わってきた。

「風が変わってきましたね」

「後、1から2回ほど流したら、南東の風が強くなる前に移動しましょう」

竿を出す時間も、限られた範囲になってきた。

釣りは「釣るか逃げられるか」の、単純勝負。

しかし、その勝負には、心から熱い物が流れる。

今日も、厳しい勝負が何度か繰り広げられた。

小河さん、渕上さんに強いアタリが来て、竿先が海面に突っ込む。

「おおっ、走るど!」

針が切られ、リーダーが切られと、口惜しい思いが待っていた。

口惜しい思いは、次に繋がる。

強くなってきた、南西の風を避けて帰港した。