3月3日 天気は悪いけど

朝の内は、北東の風が吹いていた。

少しずつ強くなりそうな気配は感じている。

「今日は宜しくお願いいたします」

お日様に手を合わせて、釣りを開始する。

出足は、“良型のエソ”が、当たってくる。

「エソじゃ面白くないんだけど…」

塩田さんの苦笑いから始まる。

「ちょっと、ポイントを変えてみましょう」

潮は、上り潮が沖に払い出している。

速さも0.5ノット前後の、ゆっくりとした流れになっている。

瀬周りにはベイトが少ないと感じていたので、瀬から離れたところのベイトを探す。

「良い感じの反応が出ましたよ」

塩田さんが、直ぐに竿を出していく。

「来た!来ました」

「良い感じの重量感が有りますね」

「これは、エソではないです」

上がってきたのは、3キロ弱の大きなヒラメ。

「こりゃ、良い型のヒラメが来た」と、笑顔になる。

気持ちが楽になると、次の当たりも直ぐに来る。

1.5キロクラスの良型の白甘鯛が上がってきた。

「前回の不調を挽回できますね」と、話が弾む。

ベイト反応は続いている。

すると「又来ました」塩田さんの調子が上がってきた。

今度も2キロクラスの、良型の白甘鯛だ。

「これは大きな白甘鯛ですね」と、良い笑顔の塩田さんだ。

しかし、崩れ始めていた天候に雨がパラパラと降り出した。

北東の風が北風に変わり、波立ち始めている。

「時化る前に、直ぐに避難できるところのポイントに移動しましょうか」

「その方が良いですね」

塩田さんの同意を得て、チョット浅場のポイントに移動する。

しかし、これが結果的には好釣果に繋がる。

海底には、これと言った特徴的な瀬は無いが、平面的な岩場になっている。

「ここで真鯛が来たら大きいと思います」

「以前も良い型が出ましたよね」

2年前の、思い出話に花が咲く。

そんな話をしていると、塩田さんに強いアタリが来た。

ラインが一気に引き出され、なかなか浮き上がってこない。

「竿先を叩くアタリは真鯛だと思います」

「慎重にゆっくりと上げましょう」

慌てず、楽しみながらラインを巻き上げていく。

「見えた。見えましたよ。良い型の真鯛です」

80センチ、5.1キロの大きな真鯛。

「来ましたね!」

「息子の祝いに鯛を食べさせてあげられる」と、嬉しさ鵜な表情だ。

80センチ超の真鯛は、堂々としている。

神経締めも、上手くいった。

ここから、アタリが連続する。

1メートル超のハンマーヘッドが走り回る。

2キロクラスのヒラメがヒットしてくる。

「今日は。高級魚の連発ですね。海の神様に感謝ですね」

「帰るときは、海の神様にお礼を言って帰りましょう」

塩田さんの釣り仲間に、ラインで写真を送る。

色々な嬉しい反応が返ってくる。

しかし、最後のドラマに嬉しい高級魚がヒットしてきた。

生き餌の鰺を泳がせている竿に、アタリが来た。

「来た!来ました!」

「この仕掛けは、少々の事では負けませんよ」

電動リールが力強くラインを巻き上げていく。

「マハタです!」

3キロの良型のマハタが上がってきた。

「今日は出来すぎですね」

「先週の不調を一気に挽回しましたね。嬉しいです」

二人でガッチリと握手。

釣果は大いに満足できる釣果になった。

しかし、北風が強くなり始め。雨足も強くなってきた。

「今日は、帰りましょうか」

「そうですね。今のうちに帰りましょう」

「今日は、有り難うございました」二人で海の神様にお礼を言って帰港した。