12月26日 風に向かって

朝日が水平線から顔を出す。

気持ちの良い、瞬間だ。

「沖に出てくると風がありますね」

北西の風が、以外と強く吹いてくる。

竹本さんと「止んでくると良いですね」と、話をしながらポイントを確認する。

「思った以上にベイトは居ますね」

北西の風に押されるように、船は、東に流れていく。

今回のポイントは久し振りだが、東に流れる潮は良い感じで沈み瀬を越えていく。

「何か来ました」

竹本さんの竿が、良い感じで曲がっている。

「結構な重さがありますよ」

上がってきたのは、これからが旬になるニベ。

4キロ位だろうか。

「刺身が美味しかったですよ」

二流し目に入ると、直ぐにアタリが来た。

良型の真鰺だ。

「ここのベイトは真鰺ですね。ジグに当たってきますね」

相当な群れで、鰺が寄っているようだ。

鯖もヒットしてくるが、もう少し太ると脂が乗ってくるだろう。

「締め鯖が良いですよね」

と、血抜きをしてクーラーへ。

しかし、この頃から白波が立つ位に、北西の風が強くなってきた。

深場のポイントに行く予定だったが、この風では難しい。

「風に向かって、ジグをしゃくりますね」

北西の風除けのつもりで、潟に寄ってきた。

「何か来た」

竹本さんがアタリを捕らえた。

サゴシだった。

「この時期に、まだサゴシが居るのですね」

季節感が、無くなってきたのかな。

北西の風が少し、弱くなってきた。

「今の内に、チョット沖のポイントを攻めてみますか」

急ぎ船を走らせて、沈み瀬の連なるポイントを攻める。

「やっぱり、ここに来ると風が有りますね」

風に向かって、竿を振り続けていた竹本さんにアタリが来た。

「何か触ったような気がするけど」

上がってきたのは、タチウオだった。

風に向かって竿を振るのは、此処が限界だった。

「この風では、釣りは無理ですね」

白波も段々と高くなってきた。

他の仲間達は「帰ってきたよ」と、連絡が来る。

「今日は、此処で諦めますか」

「風に向かってしゃくるのは、疲れますね」

帰りの海は、北西の風が起こす白波だらけだった。