アオリイカ浮き釣り釣行記、第16弾は南紀串本の地磯への釣行
浮きアオリイカ釣りのツノダです。今回は第16回目の釣行記。
前回の第15弾「アオリイカのジェット噴射で釣り納め」で、真冬の活性が低いアオリイカを攻略するための浮きアオリイカ釣りのプラス要素について、紹介させていただきました。
今回は、1月に、さらに活性が落ちる状況のなかで釣行した2度の釣行を紹介させていただきます。
数年に一度の大寒波が・・・っという気象ニュースが飛び交うなか、月明りもない、新月まわりの干潮21時前の長潮で、15時から21時の釣行スケジュールを立て南紀串本の地磯に向かう。
3月に入れば、この潮の干潮21時前後に、例年、3キロクラスのモンスターが出現するが、まだ春は遠い1月の寒波中、そんなモンスターは期待できないが、1キロクラスの数釣りは期待できるだろうという甘い考えのもと、自宅から遠路はるばる250キロの距離を南下。道中、周参見の釣りえさ爆釣で、活きアジ15匹購入。
アオリイカを求め地磯を歩くこと往復2時間、真冬の低水温=ドン深ポイントで爆釣という実績のある鉄板ポイントへ!
海水温が下がっても、串本のここにいけば間違いがないという鉄板ポイントに向かう。地磯を歩くこと30分、目当ての釣り場に到着。荷物を2回に分けて運ぶため、道具を運ぶだけで1時間半の時間を費やす。
その苦労をしても、足元から水深20メートルを超えるドン深ポイントのため、これまで、低水温下で深場に溜まる傾向のあるアオリを、このポイントでキロクラスの二桁オーバーの爆釣を何度も経験している。
真冬の低水温=ドン深ポイントで爆釣っという、揺るがない自信と実績がある。
無事に荷物を運び終え、釣り座を準備。
ここは、これまでの実績から、水深25メートルのドン深ポイントで、タナ20メートルに設定し、日中のタナを20メートル、その後、夕マズメ17メートル、日暮れ15メートルと、徐々に浅くしていくと、その都度、アオリが当たる。
期待の夕マズメ まったく反応なし。
日が暮れ、これまで変化のなかった浮きがポコポコとダンシングして、右にペコっと傾く。すぐに赤イカの反応と気付く。
低水温下のパターンとして、夕マズメにアオリ、日暮れ後、まず、赤イカ、その後、スルメイカが釣れ、赤イカとスルメイカの群れの接岸が遠ざかると、再びアオリが当たり、干潮まじかに最大サイズのアオリが釣れ、その後、潮がとまるとヤリイカが釣れるということが多い。
予想とおり、数回の赤イカの当たりが止まると、浮きが海面表層を横走り、急に直下に潜る当たりを示す。軽い赤イカと違い、重みは若干ある。スルメイカの登場だ。
スルメの当たりが遠のく。いよいよ、待ちに待ったアオリの登場か!?テンションが上がり、海面に漂う電気浮きの灯かりを凝視する。すると、スパッと海中に浮きが消し込む。アオリか!?糸ふけをとると、まったく重みがない。活きアジの生命反応もない。急いで、仕掛けを回収する。
スパッと活きアジが鋭利な歯で切られている。太刀魚?
隣で、同行者の鈴木さんが、なんか釣れましたっと叫んでいる。
ヨロリ(クロシビカマス)の仕業であった。その後、ヨロリの当たりが続き、仕掛けも切られ、あえなく撤収とした。これからアオリを期待したタイミングでヨロリが押し寄せ、どうすることもできなかった。
この鉄板ポイントで、赤イカ2、スルメイカ2という結果は残念ではあるが、ここで釣りをしたら、間違いないという最善の選択をし、地磯を歩くこと往復2時間の苦労(最大の努力)をしたうえで、いつアオリがくるか、ワクワク(緊張)しながら浮きを眺められ、「選択、苦労、緊張」から、通常時以上に、釣りを心底楽しめ、帰路、いつも以上に清々しく思えた。
アオリイカの釣況に黒潮の大蛇行の影響は…
その後、何年ぶりの大寒波が到来、南岸低気圧が2回も通過し太平洋側でも積雪、海水温が段々下がる。
さらに、今シーズンは、20数年ぶりの黒潮の大蛇行。
黒潮の大蛇行の影響で、南紀の海水温が上がらない。周参見沖で海水温14度となる。
昨年同時期、黒潮の接岸、黒潮の反転流の影響で周参見沖の海水温は18度~19度あり、南方系レッドモンスターが出現したが、今年は、ほぼ、レッドモンスターの話は聞かない。
この時期、海水温が17度あれば、最高のコンディションであるが、南紀串本でも15度前後である。17度あるのは、黒潮の大蛇行の影響で、足摺岬か房総半島勝浦あたりか!?とてもじゃないが、通えない。南紀周参見では、潮が足摺岬の方に流れ、小魚もそっちに流され、小魚すら見えないと聞く。
アオリイカの浮き釣り釣行、今回のプラス要素は月明りと水温の安定
釣行当日、海水温が下がったどうこうのマイナス要素を並べても、釣行を楽しめないため、プラス要素を考える。前回と違い、月明りもある。海水温15度前後であるが、ここ3日間、その温度で安定している。水温の変化を嫌うアオリは、温度が安定すれば当たることがある。尾鷲、熊野では、海水温13度と低くても数日、数週間、その温度で安定しているため、アオリは釣れるという。
満月前の中潮、日暮れから月明りがあり、日暮れの18時から干潮潮止まりの22時までの4時間が地合いと予想。
日暮れ、大きな月が煌々と海面を照らしだす。
グレ釣り師が撒き餌をした直後の足元に、小魚が集まっていることを期待して釣り座を変更する。
その変更作業をしていると、岬先端で竿を出している同行者の岡さんから釣れました~っという嬉しい叫び声が聞こえる。
18時30分、岡さんが幸先良く800グラムのアオリをゲット。
続いて、岡さんの隣、岬先端付近で竿を出している同行者の鈴木さんから釣れました~っという喜びの叫び声が響く。
鈴木さんは、600グラムのアオリをゲット。
今日は、もしかして!?アオリの日なのか!?
期待が高まる。
今日は、アオリの活性が高いと判断する。活性が低い=底から、活性が高い=底からすこし上層に、の自己理論から、約30メートル遠投して、水深13メートル、タナ12メートルで底付近を狙っていたタナを10メートルと少し浅くして再度、仕掛けを入れなおす。
月明りが海面を煌々と照らし、ヘッドライトの灯かりがなくても釣りができるほどだ。釣れそうな雰囲気が漂う。
次の瞬間、電気浮きの灯かりを眺めていると、ジワーっと浮きが海中に沈み、約1メートル沈んだ位置のままの状態で、海面を電気浮きの灯かりがボワーっと照らす。デカイカ特有の当たり方の居食いである。高まる気持ちを抑えて、冷静に糸ふけをとる。ドシリとしたアオリ独特の重みを竿先から感じたと同時に、海面の位置にある竿先を自身後方へと、渾身の力で、素早く大きく合わす。竿がひん曲がり、ストロークの長いジェット噴射が開始される。デカイカ特有のトルクあるジェット噴射で竿が大きく曲がる。このジェット噴射の感覚がたまらない。無事に足元まで寄せて、タモ入れ成功。
1600グラムのナイスサイズのアオリを手にする。パワーとやり取りした感じから、2キロを超えたかと期待したが、重さが少し足りなかった。だが、綺麗な個体を手にでき、大満足である。
岬先端から、岡さん、鈴木さん、私と順番に当たっていることで、私の隣の、同行者のナア君も当たりを期待する。
すると、順番というのはこういうことか!?
ナア君も釣れました~という。
恐れていた赤イカの登場だ。がっかりするナア君。
数分後、鈴木さんも、あきません~っという。
恐れていたスルメイカの登場だ。
18時30分、3連発の当たりを示したアオリの当たりは赤イカとスルメイカの登場で、ピタッと止まる。
20時、潮が大きく下がりだした。赤イカとスルメイカの当たりが止まっていたため、もしかして!?アオリの当たり再開か!っと期待が高まる。次の瞬間、浮きがスパッと海中に消し込む。急いで、糸ふけをとると、アオリ特有のズシリとした重みを竿先から感じたため、同時に、大きく合わせる。
1キロサイズのアオリだ。
続いて、当たりがあったポイントに仕掛けを投入する。浮きが徐々に手前に流れる。先ほどまで、右へ右へと移動していたため、なんかおかしい!?とウキを凝視する。浮きは、30メートルキャストした位置から足元5メートルの位置付近まで、手前、手前と移動していた。そろそろ仕掛けを回収しないと、根掛かりの恐れがある。その次の瞬間、浮きが海中に消し込む。ここで食う?アオリは沖から浅場へとアジを追っかけてきたため、浮きが手前移動していたのだ。確実に合わせる。
1キロサイズのアオリだ。執念深くアジに抱きついている。アオリがアジを離さない。
いよいよ、アオリ爆発か!?っというモードを期待する。
これからアオリっというときに、赤イカ、スルメイカのモードに逆行する。
そして、赤イカ、スルメイカが終われば、アオリを超えて、ヤリイカモードに。
21時30分、最後の活きアジも、赤イカに,ちょい噛みで瞬殺される。
活きアジがなくなり、納竿とした。
アオリイカモンスター級のハイシーズンには黒潮の接岸を切に願う
低水温でも、①月明り・②低水温で数日安定している、この2つのプラス要素があれば、爆発はしないが、アオリが釣れるということを改めて分かった釣行となった。
通年の、黒潮の接岸、反転流の南紀周参見への流れ込みを2月は期待し、これまでは、2月は2キロ、3月は3キロっといったモンスターと出会いやすい、ハイシーズンに突入するこれからのシーズン、通年通りの自然状況に戻ってほしいと心から願う。