標準和名は『カサゴ』であります。【中本嗣通氏連載記事No.15】 | カンパリプラス

掲載日: 2013/05/03

標準和名は『カサゴ』であります。【中本嗣通氏連載記事No.15】

毎度でんねんわ
僕らが“釣り”に目覚めた昭和40年代の後半、少し余裕を蓄えた庶民を中心に世の中には一大の釣りブームが訪れており、猫も杓子も休日のレジャーとして海へ、海へと向かうことで投げ釣り人口もイッキに伸び、まさに「投げ釣り黄金時代」を迎えていたのでありました。

そんな時勢を受けて、書店の書棚にならぶ釣り雑誌といえば『関西のつり』、『釣りの友』という関西系の月刊誌を中心に、ナゼだか『つり人』や『つりマガジン』、『フィッシング』といった関東系の総合釣り雑誌も関西のローカル地域にある小さな書店で売られるほどの盛況ぶりでした。

まっ、いまから考えれば関東系の釣り雑誌の記事といえば「船釣り」や「磯釣り」、「川釣り」が主体で、関西のキャスターが熱読するような投げ釣り記事は少なくて読み応えがないにも関わらず、なんやお金があれば暇つぶしに買って読んでいたおかげで、本から得た知識によってケッコウ本格的に船釣りや川釣りを講釈できる頭でっかちの生意気な釣りキチのガキになっていたオッサンです。   あれから四十年余りという長い年月が流れ、齢五拾四歳を数える現在となって関東系の陸っぱり専門誌『磯・投げ情報』や『釣り日和』に記事を書き、数年前には今は無き『陸っぱりつり情報』に連載を持たせてもらい、その上に東京発の釣りムック本数冊でカラーグラビアを飾ることになりまんねんから、人生ってヤツはじつに不思議な“ご縁”でつながってまっせ。 いや、ホンマに…。

そのおかげ()でか、関東においても「中本嗣通」を知っている人が多少はおられるようで、横浜のフィッシングショーでは結構あちらこちらで声を掛けていただき、ホンマに感謝感激したオッサンなのでありました
さてさて、今回のお題は、関西で「ガシラガシやんガッシー」と呼ばれている魚が標準和名の『カサゴ』であります。
岩礁帯のシモリ底を釣る夏場の磯モン狙いや、冬場のアイナメ狙いで本命にヒジ鉄を喰らって落ち込む僕らキャスターに対しても、まるで慈悲深い聖母マリア様のように漏れなく釣れてくれるのが、このお魚でっせ

でっ、このターゲットもメインで狙う機会などは殆どなく、多くはその他大勢で釣れるパターンになりまんねんな。

泉南や神明間~淡路といったエリアでは13~18㎝といった小さなサイズが多くなるが、ときには25㎝前後という良型も釣れます。これが磯モンを狙う南紀~紀東の地磯や沖磯などを釣り場に選ぶと20~25㎝という型がレギュラーとなり、さらに30㎝を軽くUPするソイと見間違うような大型と出会えるチャンスもおまんねんで♪

また、磯モン狙いのポイントを釣れば数も出て、エエ場合には軽く二ケタをクリアします。しかしアイナメを狙う泉南や神明間~淡路といったエリアでは、なかなか二ケタに届くことがおまへんな…。   …ということから考えれば、ガシラは釣り場の荒れ具合を計るスケールになるって云うことでんな。つまり、釣り人が多く入る近郊の釣り場では極端な釣り荒れが進み、慢性的に型・数ともに供給が追いかないスパイラル状況に陥っていると思えてなりまへん。

逆に、人が入らない地磯などのポイントでは魚の数が残り、如いては大型が残ることになりまんねんな。まっ、ご存知のとおりガシラってヤツはこのオッサン並み()に卑しいヤツでっから、漁師さんでさえ「漁場において最初に姿を消すのはガシラや…」といわれています。

だから、初めて竿を出す釣り場で良型のガシラがポンポンッと連続で釣れたりすれば、そのポイントが釣り荒れていない証拠でっから思い切り期待してよろしおまっせ♪

でっ、そんなガシやんの釣り方ですが、とりあえずエサを付けてシモリへ投げておけば『That All Right !!』 です。 後は、アタリがあるまで待つ。ただ、それだけです。 ガシやんとの付き合いは、実に男らしいサッパリとした間柄なのです。 釣期や時合いも気にすることはおまへん。そんな細かい事柄を気にしていたら、ガシやんに失礼というモノでんがな…。

ただしでんな、ガシラを釣るにはシモリ底を釣るために根掛かりが多発します。コイツのためにストレスを感じることのないように、仕掛けとタックルのスペックだけは“対根掛かり”に備えたおまんな。 その詳細は、前述したアイナメ狙いのタックル一式を(もちろん、ハリと市販仕掛けはささめ針製品で決まり)流用してもろたらエエと思いまっせ。

ホンでもって、エサは虫エサ全般やエビ類、魚の切り身など好き嫌いはおまへんが、どうも一番の好物はマムシかサンマの切り身みたいでんな

フィッシングショー2021