魚の偏食とは
前回記事の釣行の後、一月末頃にはカタクチの接岸はピークに達していた。喜ばしい事だがこれはこれで釣れにくくなることがある。偏食だ。
魚からしてみればカタクチの群れに口を開けて突っ込めば食えるイージーな状況。しかしそれだけ活発にベイトを食べているのに釣れない。このもどかしい状況を攻略する手立てを持たなければ、釣果0もあり得るのが偏食の恐ろしいところだ。
まずは偏食でルアーを追わなくなる理由を考えてみる。
偏食対策として、マッチザベイトを徹底してルアーサイズやカラーをベイトのサイズに合わせるという方法がある。偏食時にやるべきことの一つではあるが、それでもイマイチ釣れないのが現実。ということは、視覚的にベイトに似せる以外にも、なにか大事な要素ががあるはず。それを私なりに考えてみた。
水面下を泳ぐカタクチやキビナゴなどは、釣りをする方なら何度も見ているとは思うが、そういったベイトは、ミノーのように頭を振りながら泳がない。シンキングペンシルのようにS字も描かないし、バイブレーションみたいな強烈な波動は出さない。そこから考えると、魚の目にうつるルアーはほぼ全て派手な動きに見えているはず。波動もそうだ。ルアーが出す波動は、動きの大きさからしてベイト単体が出せる強さを大きく超えている。
それほど派手な存在だからこそ、ベイトを探し回っている、又は待ち伏せている魚に効率良くアピール出来るのだと思う。しかしこの派手さは偏食時には仇となり、逃げ回る体力がある元気なベイトに見えてしまうことになる。そうなれば当然、魚は楽に食べられるほうを選ぶわけで、ベイトの塊に盛んに突っ込むことはあれど、ルアーに反応を示しにくくなるというのが私の考えだ。
喰わせのキモは「デッドベイト」アクション
では、いかにして魚にルアーを喰わせるか。魚の視点に立てば自ずと答えが見えてくる。要はカタクチの群れに突っ込むより更に楽に食べられるカタクチに見えればいいのだ。
攻撃を受け瀕死のカタクチは魚にとってこの上なく食べやすいだろう。このデッドベイトを模したアクションなら、魚も反応を示してくれる。
ここで活躍するのが私の大好物のシンキングミノー。容易にデッドベイトアクションを生み出せる。やることは簡単、超スローリトリーブだ。ただし泳がないスピードで。ただの棒がゆっくり進んでいるかのようなこの動きが、魚には瀕死のベイトに見えているようで、嘘のように反応してくれる。
ストップアンドゴーなんかもいい。シンキングミノーのゆっくりとした水平フォールも同様に効く。
このパターンでのイチオシはシマノのスピンブリーズⅢ(写真はⅡ)。デッドスローでの棒アクションから、風の強弱で生まれるふらつきがいかにも死にかけのベイトだ。それに異常に飛ぶ。
これをアルミテープでチューンすると・・・もはやカタクチそのものだ。
少し深めのレンジを狙うならヘビーミノーのリップを折ったものを使う。シンキングペンシルと違い、ホントに動かなくなるがそれでOKだ。
いざ実釣!ターゲットはスズキとマダイ
打率8割の絶好調!!
長くなるので内容は端折る。1月末から2月中旬まで計5回の釣行。内4回の釣行で複数の釣果が得られた。(外した1回はベイトが沖に出払っていた)。全てデッドベイトアクションで獲れたのはいいのだが、性質上なかなかきれいに掛からないのでバラシが多い。
さすがに嫌になったのでリーダーをフロロから、デュエルのパワーリーダーCNに変更。フロロ並の耐摩耗性にナイロンの伸び。夢のような話だがそれを高次元で実現している。コレに変えてからはバラシは半減した。
しかし今シーズンの魚、特にマダイは引きがすごい。おそらくカタクチが異常に多いお陰で、食べた分だけ体力に反映しているのだろう。今回の最大サイズの80cmのマダイは、大型青物かと思うほど竿を絞られた。せっかくなので食べてみたが、皮が厚く、やはり身も脂が乗って美味だった。
シーズンは春まで続く!ベイトを探してランガン!
おそらく記事が掲載される頃にはカタクチが移動し、釣れるポイントは変わっているだろう。しかし例年通りなら長崎県北エリアでは4月上旬ぐらいまでカタクチの大群を見かけるので、チャンスはまだあるはず。
春のカタクチの移動は思ったより早く、前日大量にいても次の日はすっからかん、なんてこともよくあるので、この時期はとにかく広範囲を見て回るのが大事だ。