8月17日 初物づくし
「夜明け前の30分程、タチウオをやりましょう」

西村さん親子と、Sさんと夜明け前の港を出る。

「功太は、初船釣りなので、釣れると良いね」

お父さんが、息子さんの体調を気遣っている。

タチウオのポイントに入り、直ぐに釣り開始。

「何か当たる」西村さんに、アタリが来ているようだ。

「ほら、来た!」

指4本弱の銀色に光るタチウオだ。

Sさんにも、西村さんの息子さん功太さんにもアタリが来ているが、針掛かりしない。

やがて、東の空が明るくなり、タチウオは終了。

「今日のポイントに行きましょう」

南東方向に船を走らせる。

ポイントにはいると、魚探にはベイト反応が色濃く出ている。

潮は、ゆっくりと下りながらの払い出し。

「0.5ノット前後で流れています」

西村さんにアタリが来た。

上がってきたのは、50センチクラスのシーラだった。

「今日もシーラが多そうですね」

「シーラは今年初です」

今度は、息子さんの功太さんに、アタリが来ている。

上がってきたのは、丸々とした鯖。

「結構引いたやろ」

「引きが強かったね」

お父さんと、笑顔で話が弾んでいる。

続けて、功太さんにアタリが来た。

お父さんが横に立って、魚とのやり取りを心配そうに見ている。

上がってきたのは、大きなカマスがダブル。

「二匹やったかい、引いたっちゃ」と笑顔。

船首で竿を出している、Sさんにもアタリが来た。

これも、丸々と太った鯖だった。

鯖やカマスがボツボツと来始めた頃「あっ切られた…」と、Sさんの声。

フグが邪魔し始めたようだ。

「ポイントを変えましょう」

暫く、南方向に走る。

「ここも、ベイトはいますよ」

ここから、功太さんの調子が上がってくる。

西村さん親子に良型の鯖が来た後、功太さんに今までと違うアタリが来た。

「鯖やと思う」

と言いながら、巻き上げていくとハガツオが浮いてきた。

「おおっ、良いハガツオや」と、みんなの注目が集まる。

ハガツオで、船上に元気が出たが、ヒットするのは鯖が多い。

「ポイントを変えましょう」

今度は、南東方向に走る。

「ここは、魚礁がしたにあります」

ここでも、最初にアタリをとらえたのは功太さん。

ヨコワが上がってきた。

「これ、黒マグロの子供ですよ」

「マグロですか」

「子供だけどね」

「始めて釣りました」

ハガツオにヨコワと初物が続く。

この後に功太さんに来たアタリが凄かった。

「なんか来た」

「結構な引きだね」

親子で余裕があったのは、ここまで。

ラインが緩むくらいに、海面に向かって走ってきた魚が急反転した。

「うわっ、糸が止まらん」

功太さんが慌てているが、相手は容赦なく海底めがけて真っ直ぐに走っている。

船で追いかけるが、なかなか出ていくラインが回収できない。

10メートル巻き取っては、その数倍走られる。

功太さんから、お父さんに変わったが相手の走りが止められない。

「あっ…切れた…」

ラインを巻き上げると、PEラインがザラザラしている。

海底で瀬回りを走られたようだ。

「取りたかった…」

でも、逃げられたモノは仕方ない。

ここは、気持ちを切り替えて、頑張ることにする。

「別のポイントに行きましょう」

ポイントに移動する間、Sさんがルアーを流していると70センチクラスのシーラがヒット。

「西村さんもやってみたらどうですか」

Sさんに勧められて、西村さん親子も挑戦。

直ぐにアタリが来た。

功太さんとお父さんと、シーラを掛けては「楽しいね」と笑顔。

「夏休みに釣りに釣れてきたかったんですよ」

願いが叶って、西村さんも功太さんも笑顔。

70センチクラスのシーラが、面白いようにヒットしてくる。

「シーラも初めて釣りました」

功太さんにとって、今日は初物づくしの日だ。

1時間ほど、シーラ釣りを楽しんだが、南西の風が段々と強くなってきた。

白波が出て、波も少しずつ高くなり始めた。

「最後に少しだけジギングをやってみましょうか」

Sさんに良型のウッカリカサゴが来た。

しかし風が強くなったのと、下潮が速くなったこともあり、釣りが難しくなってきた。

「今日は、ここで切り上げますか」

南西の風は強くなるばかりだった。

功太さんの初物づくしの頑張りが、クーラー満タンにしていた。