4月23日 大ウネリの中で

写真では、なかなかウネリの高さを伝えきれないかな。

港を出ると、猪崎鼻の岩場と大島北側の岩場に波飛沫が立ち上がっていた。

O先輩に、連絡してみた。

「そちらの方は、波と風はどうですか」

「凄い波とウネリがあるよ。長い時間、釣りは難しいかもね」

昨日からの時化が残っている様で、北東からのウネリが高くなっているみたいだ。

大島の内場を周り、平瀬を出ると目線を越えるウネリが寄せてくる。

「凄いウネリですね」

堀部さん、中村さん、内田さん、長田さんもウネリの高さに驚いている様子だ。

「これは、表は無理ですね」

それでも、暫く水島の南側で竿を出してみたが、ウネリの高さが壁みたいで船の上下動が激しすぎる。

一緒に来ていた、仲間の船も内場に引き返していった。

私も、一旦内場に戻ってみたが、下り潮が菜っ葉色に変わってきているのが気になっていた。

「水島手前の、内側にある沈み瀬にチョットトライしてみませんか」

「行ってみますか」

ウネリを乗り越えて、ウネリと風を覚悟で竿を出す。

なかなか、アタリが出ない。

30分くらい粘ってみて「やはり、内場に帰りましょう」と、仕掛けを上げたとき…。

「鰺が来た」

中村さんが仕掛けを回収中に、良型の鰺がヒット。

「良い型の鰺が居ますよ」と、少し元気が出る。

しかし、益々強くなってきた北東の風とウネリを避けて、大島内場に再度戻る。

ポイントを2度、3度と替えてアタリを求める。

「何か来た」

堀部さんにヒットが来たが、食いが渋いのか途中で針外れ。

「今の引きは、鰺だった様な気がします」と、残念そう。

内場にも、沖合のウネリが入ってくる。

内田さんにアタリが来た。

ジギング竿が、良い曲がりを見せている。

「結構引くよ」

魚の引き味を楽しみながら、ラインを巻き上げていくが、上がってきたのは丸々と太ったエソだった。

「なんだ…。良い引きだったのに…」と、口惜しそうだ。

ポイントを移動しながらベイトを探していると、立ち上がったベイト柱が何本も出てきた。

「良い感じのベイトです。やりましょう」

皆さんが直ぐに仕掛けを落としていく。

中村さんに、アタリが来た。

「良い感じの引きですね」

「重くて、なかなか上がってきません。走ります」

ゆっくりと、獲物の走りに併せる様にラインを巻き上げていく。

「見えた。真鯛です!」

「おーっ、デカイ!」

仲間の皆さん方から歓声が上がる。

61センチ、2.4キロ、良型の雌の真鯛だ。

大ウネリの中での、見事な釣果だ。

私も嬉しくて、中村さんとガッチリ握手。

ここから、少しずつ調子が上がっていく。

堀部さんにアタリが来た。

竿が綺麗な弧を描いている。

「良い感じの曲がりですね」

「叩きますね。鯛かな」

上がってきたのは、50センチに迫る良型のイトヨリ鯛。

「良い型のイトヨリですね。太ってますね」と、笑顔が又良い。

堀部さんは、この後同型のイトヨリ鯛をもう一枚追加。

「イトヨリ鯛を良く釣るね」

仲間の皆さんから、祝福の声を掛けられて良い笑顔だ。

表には出られないが、内場で粘り強く頑張った釣果だ。

少し風が南に変わってきたこともあり、船を流すコースを変更する。

すると、中村さんにアタリが来た。

上がってきたのは、ガンゾウヒラメ。

釣果を持つ笑顔が良い。

段々と南風が強くなり始め、これがギリギリかなと思ったときに、長田さんにアタリが来た。

「来た!嬉しいアタリが来た」

慎重にゆっくりと巻き上げる。

上がってきたのは、イトヨリ鯛。

朝から、大ウネリの中辛抱強く竿を振ってきた成果だ。

「ギリギリで釣れて嬉しいです」

長田さんの笑顔が、輝いて見える。

「締めも出来ましたし、帰りますか」

南風を背に受けて、帰港した。