4月13日 動かぬ潮、動くと早い下潮
今朝も猪崎鼻の岩場には、時折大きな波飛沫が上がる。

今日も、北東からの波長の長い、大きなウネリが寄せてくる。

潮の色は、昨日と同じ菜っ葉色した、沖への払い出しの上り潮。

「今日は、浅場から攻めていきましょう」

水深30メートル台の浅場から、北東に向かって払い出す潮に乗せて流していく。

ベイトは沢山は出ていないが、小さなボール状になって海底付近に出ている。

一流し目は、アタリが出なかった。

二流し目、コースを少し東側にとって瀬の繋がりを攻めていく。

「何か当たっています」

久家さんが、何かのアタリを捕らえている様だ。

「来ました」

久家さん得意の一つテンヤで、今日最初のアタリ。

まずまずの、アラカブだった。

「また、来ました。大きいです」

良い感じで、竿が曲がっている。

上がってきたのは、1.5キロクラスのオオモンハタ。

「最近は、ハタが余り上がっていなかっただけに嬉しいですね」

少しずつ、調子が出てきた。

潮の動きも0.8ノットくらいで、北東に流れている。

「良い流れになってきましたね。今日は釣り日和になるかな」

鯛ラバを引いていた私にもアタリが来て、キロ未満の小ニベが上がってきた。

「チョット見た目には、スズキの子に見えますよね」

「ヒラススギなら、良かったのに…」残念。

鯛ラバを落として、再びスローで巻き上げていると、船の直ぐ横で何かが跳ねた。

久家さんが「何か大きな魚が跳ねましたね」と、言ったときに私に強烈なアタリが来た。

ズルズルとラインが出ていく。

「止まらんですね」

瀬周りを走っている様で、リーダーが何かに擦れる感じが伝わってくる。

3メートル巻き取っては、10メートル出ていく感じのやり取りだ。

リーダーが瀬に当たっているのを、ハッキリと感じた時「あっ、切れた…」

鯛ラバにセットしていた、8号リーダーが切れた。

仕掛けを作り直していると、久家さんにアタリが来た。

刺身が取れそうな、良型のアヤメカサゴ。

「良型ですね」

「刺身にしようかな」

「甘くて、美味しいですよね」

こんな話をしながら、一つテンヤ仕掛けをゆっくりと、落とし込んでいく。

「何か、触っています」

久家さんの竿先が、何かのアタリを捕らえている。

ググッーと、竿先が海面に突っ込んだ。

久家さんの合わせが入った。

竿が大きく曲がって、獲物の大きさを伝えている。

「ゆっくりやりましょう」

と、声を掛けた時、相手が強烈に走った。

ドラッグ音が鳴る。

「あっ…」

リーダーが切れている。

「テンヤを飲み込まれていた様な感じでした…」

2度の大バラシがあって、何処かで気分転換しよう。

「ポイントを変えましょう。少し浅場ですが、岩が3個転がっている様なポイントがあります。其処に行ってみませんか」

「もしかして、初めてのポイントですか」

「そうです。久家さんが最初のポイントです」

この頃から、潮が沖からの突っ込み潮になって、上潮は北西に03ノットくらいで流れ、下潮は可成りの速さで東に向かう様になってきた。

「潮が変わってきてますから、少々遣りづらいかも知れません」

「上は余り動かないけど、下が早い二枚潮ですね…」

次のポイントに入り、魚探を見る。

「ほら、岩が転がっている様に、何個が有るでしょう。ベイトもいますよ」

「いますね。頑張ってみます」

「一度、鯛ラバを引いてみませんか。テンヤとの違いが面白いかも知れませんよ」

と、久家さんに私の竿を渡す。

「着底も取りやすいですね。こんな二枚潮の時は有利かも知れませんね」

すると久家さんにアタリが来た。

「ベイトリールが初めてなので、少し緊張しますね」

やがて、上がってきたのは2キロ近いオオモンハタ。

「真鯛かと思う様な、叩きを見せていましたね」

「そうですね。私も真鯛かと思っていました」

そのオオモンハタの口から、北枕の赤ちゃんが出てきた。

「キタマクラを食べるんだ」と、チョットビックリ。

しかし、これからと言うときに風が真南に変わり、波が立ち始めた。

「昨日と、同じですね」

「白波が出始めましたね」

「引き上げますか」

久家さんの申し出もあって、オオモンハタを最後に帰港した。