3月18日 粘っても、探っても…
早朝の水島は、昨日同様、波を被っていた。

ウネリも高かったが、目の前に鳥山があっちこっちに出来ている。

「鳥山が出来ています」

別な船が、水島の北側に入ったこともあり、私は南側へと回った。

沢山の鳥たちが、直ぐ近くに集まっている。

海面に目を凝らすが、ナブラが見えない。

海面下に、鰤は居ないのだろうか。

「ジグで狙ってみましょう」

沢山ある沈み瀬の一つにターゲットを絞って、ベイトを探す。

中層と、海底付近に、ベイトが映し出されている。

「小さいベイトボールが、海底付近に次々と出てきます」

堀部さんと内田さんがジグをシャクって、アタリを捕らえようと頑張っている。

潮は、緩い吐き出しの下り潮。

しかし、潮の色は昨日よりも青味があって、良い感じの色をしている。

堀部さんが、大きく竿を煽って、合わせを入れた。

「なんか触った」

上手く、針掛かりしなかったようだ。

「大丈夫です。また、来ると思います」

ベイトの様子が変わってきて、何本も立ち上がり始めている。

「ベイト柱が何本も繋がっています」

堀部さん、内田さんの竿を持つ手に、力が入る。

しかし、なかなかアタリが出ない状態が続く。

「ポイントを変えましょう」

北側にポイントを移動して、ベイトの中を探っていく。

この頃から、風が北西から北東へと変わっていった。

「波が高くなってきましたね。一旦、内場に入りましょう」

内場に入って、鯛ラバに変えて鯛に狙いを変える。

「アタリが出ないですね」

潮の色が菜っ葉色に変わって、潮も沖から潟へと突っ込み始めている。

この潮は…苦戦を強いられるかも知れない

私の頭の中に、不安が過ぎった。

ポイントを変えて、流すコースも色々と変えて、あっこっち探ってみるがアタリが出なくなった。

「潮が、動かなくなってきましたね」

速度計では0.2ノット前後に表示される事が多くなってきた。

1時間、2時間ついには昼前になった。

北東のウネリが少し、弱くなってきた時を見計らって沖のポイントに出てみる。

ここで、漸く堀部さんにアタリが来た。

上がってきたのは、良型のアヤメカサゴ。

「良かったです。これで気分を変えて頑張りましょう」

しかし、ウネリが目線を超える高さになってきたこともあり、再び内場に移動する。

内場で唯一、ベイト柱が確認できていたポイントに入る。

そのまま、船を北西方向に流していく。

すると、堀部さんにアタリが来た。

上がってきたのは、良型のガンゾウヒラメ。

「なんとか、アタリが出始めたようです」と、ホッとした笑顔。

今度は、内田さんにもアタリが来た。

これも、良型のガンゾウヒラメ。

「なんとか、ボーズは免れました」と、内田さんもホッとした様子。

魚の種類はともかく、私もホッとした。

粘っても、探っても、苦戦が続いただけに、ホッとした気持ちだ。

帰りの船中は、今日の苦戦を見直して、静かな時間が過ぎていった。

港に帰ると、一人の男性が会いに来てくださった。

土持さんと言われる、笑顔の素敵な男性だった。

暫くお互いの事を話して、これから宜しくお願いしますと挨拶した。

苦戦続きだった今日の締めは、素敵な釣り人との出会いだった。