2月19日 動かない潮に我慢の釣り
この状況は、予測していなかった。

いや正確に言えば「私が、読み切れていなかった」が、正しい気がする。

朝一番に大島の東側に入ったときは、風の影響も確かにあったが、船は真東に流される下りの払い出しだった。

牛衛さんがアカハタを揚げて「今からボツボツ行くか」と少し期待した。

関屋さんも、外れたけれど「よしっ」と、何かのアタリを捕らえた。

「今からですよ」と、私も元気が出てきたが…。

ポイントを移動して、それまで吹いていた北西の風が止んだ。

すると「潮が動いてないですよね」と、牛衛さんと関屋さん。

わたしも、魚探の航跡で確認していた。

関屋さんのジグに、何かがバイトするが、針に乗らない。

牛衛さんのジグは「サゴシです」と、思われる魚に一発で切られた。

ここから、我慢の釣りが続いた。

アタリがなかなか出ない時間が、長く続いた。

「10メートルも巻き上げると、潮がスカスカに感じます」

動かない潮の、典型だ。

しかし、関屋さん、牛衛さんの諦めることのない粘り強い釣りは、獲物を追いかけ続ける。

私も、お二人に負けていられない。

ポイントを移動するたびに、魚探ではベイトが確認できる。

「今日一番のベイトです」

立ち上がって柱状になっているベイト。

海底から浮き上がって、蛇行しているベイト。

「潮の様子が、何かが可笑しい」

動かない潮に苦戦する中、関屋さんがアタリを捕らえた。

「初めて釣りました」

小型だが、アカヤガラ。

「美味しい魚ですよ。背中の骨に沿って包丁を入れると良いですよ」

しかし、その後は又しても沈黙の時間。

「思い切って、移動しましょう」

北東方向に、暫く走る。

ポイントに入り、直ぐに魚探でベイトを確認する。

ベイトの影は薄いが、何本も立ち上がっている。

直ぐに仕掛けを入れて、海底付近を探っていく。

牛衛さんの竿が、アタリを捕らえた。

上がってきたのは、レンコダイ。

レンコダイは、小さなカニやエビ等を沢山食べている。

牛衛さんに続けてアタリが来た。

型の良い、アヤメカサゴだった。

「なんとか、アタリが来ました」と、笑顔で答えて貰った。

この頃になると風が南になり、波が立ち始めた。

風で揺れる中、関屋さんにもアタリが来た。

上がってきたのは、ウミゴイ(オジサン)だった。

最初のアタリは、竿が大きく曲がっただけに期待も大きかったが…。

「途中で、引かなくなりました」と、釣果を見て笑顔だ。

今日の釣りは、潮が動かない中、確かに厳しい釣りになった。

しかし、釣り開始から釣り終了まで、諦めることなく竿を降り続けられた関屋さん、牛衛さんには改めて教えられた気がする。

「私も、もっと潮を勉強しなくては」

釣りは厳しかったが、帰りの船中は色々な話が弾んだ。

頑張るぞ!