11月27日逃げた、捕った
朝早くは、北西の風がやや強く、吹いていた。

木下さん、本山さんと、ポイントへ急ぐ。

ベイト反応は、まずまずの感じで出ている。

「海底から、10メートルの範囲に出ています」

北西の風に押されながら、1ノット前後で北東に流れていく。

風が強い分、船の流れも速く感じる。

潮の色は、青味が濃くて「群青色」に近い。

ポイントから少し離れたところで、木下さんにアタリが来た。

良い感じで、竿が弧を描いている。

「引きは良いですか」

「重い感じがしますね」

上がってきたのは、イトヨリダイ。

針が、腹部に掛かっていた。

最初の釣果が上がると、ホッとした気持ちになる。

二流し目に、再び木下さんにアタリが来た。

ドラグ音が鳴って、ラインが引き出される。

「良い引きしていますね。ゆっくり、楽しんでくださいね」

「慎重に、ゆっくり行きますよ」

少しずつ、ラインを巻き上げていく。

やがて、海中に獲物の姿か見え始めた。

「真鯛では無いような、白っぽい魚体に見えますね」

後少しで、姿がハッキリするとまで上がってきたが…。

「あっ、外れた…」

魚が踵を返して、海中深く帰っていくのが見える。

「えー、後少しだったの…」

逃げていく獲物を見送るのは、辛いものがある。

逃げられた事は、仕方がない。

ここは、気持ちを切り替える。

ポイントを、移動する。

本山さんが、アジゴを使って仕掛けを落としていく。

直ぐにアタリが来た。

竿先が、大きく舞い込んだ。

アワセが入ったが、強い引きが感じられない。

上がってきたのは、大きなエソだった。

「残念」

エソの姿に、船内に笑い声が広がる。

「大笑いやね」

本山さんの表情は、心から釣りを楽しむ釣り人の姿。

その本山さんに、強烈なアタリが来た。

竿先が、海面に突き刺さる様に、曲がっている。

「青物ですよ。来ましたね」

「リールが巻けない」

木下さんも、本山さんの傍らで応援しているが…。

竿先が、元に戻った。

針が外れていた。

「仕方ない、力が足りなかった」

本山さんの気持ち切り替えは、潔い。

今度は、木下さんにアタリが来た。

竿先を叩くアタリ。

「多分、真鯛ですね」

「今度は、慎重に行くよ」

獲物の姿が、見えてきた。

1キロ超の綺麗な真鯛。

「嬉しいですね」

木下さんの笑顔が、輝いている。

傍で、本山さんも祝福している。

この頃になると、風の向きが変わってきた。

天気予報では、北西が強く成るはずだが、南東の風が吹き始めた。

風の予報では、風力が7になっている。

「引き上げましょう」

本山さんの声掛けで、昼過ぎに納竿とした。

2時前に船着き場に帰ると、夕方狙いの横山さんが待ってた。

「風が南東になって、波が立ち始めています」

「釣りが出来ないかも知れません」

そんな話をしながら、木下さん、本山さんにお礼を伝えて、夕方狙いで出てみた。

やはり、南東の風が波立っている。

少し沖に出てみると「ベイト反応がある」と、竿を出してみる。

アタリが来た。

「何か、当たってきました」

横山に嬉しいアタリが来た。

オオモンハタが、上がってきた。

オオモンハタの写真を撮っている間に、風が真西に変わり強く吹き始めた。

白波も立ち始めた。

「もう一回、流すよ」

すると、またもアタリが来た。

竿先を叩く真鯛のアタリだ。

1キロ超の、真鯛が上がってきた。

1時間も竿を出していないが、オオモンハタと真鯛がヒット。

「予想していなかっただけに、嬉しいですね」

西風は強くなってきたが、嬉しい釣果に、笑顔で帰港した。

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