7月13日雨に叫ぶ

「捕ったぞ!!」

思わず、大声で叫んだ。

“大物アラ”を見事釣り上げた塩田さんと、ガッチリ握手して祝福する。

雨が心配される中、朝間詰め勝負のつもりでポイントへと急ぐ。

急ぐ理由の中には、私の朝寝坊も含まれている。

ポイントについて、暫くすると雨が落ちてきた。

「激しくならなければ良いけど…」

時化てくる事と、雷が心配だ。

そんな中、山下さんと塩田さんに、同時にアタリが来た。

塩田さんには、真鰺がヒット。

山下さんには、良型の真鰺とイサキのダブルヒット。

まずまずのスタートになったと、思ったが…。

何故か、魚探に出ていたベイト反応が、消えてしまった。

何処を探しても、良い感じのベイト反応が出てこない。

雨も激しく振ったりして、焦りが出てくる。

「ポイントを変えましょう」

潮の色が、昨日よりも青みが出ているように感じている事もあり、やや深場にベイトを求めて移動する。

やや深いとはいえ、岩場が多い分、イサキも期待できる。

山下さんに、アタリが来た。

竿先に出る感じから「イサキのようですね」と、声を掛ける。

予想したとおり、イサキのダブルヒット。

下り潮が、0.7ノット前後で流れている分、釣りやすい。

潮色も、下り潮の菜っ葉色と濁りが混ざった色をしているが、下潮の動きが活きているようだ。

塩田さんにアタリが来た。

竿が大きく撓っている。

「真鯛のようです」と、塩田さん。

2キロクラスの、良型の真鯛が上がってきた。

「綺麗な真鯛ですね」と、塩田さんも嬉しそうだ。

所々で、ベイト反応が出ている。

山下さんは、良型のイサキが連発している。

良型の、真鰺もヒットしてくる。

そして、大物アラが塩田さんのジグにヒットしてくる。

仕掛けを落として、着底と同時に「瀬掛かりか…?いや、違う、何か来た」と、塩田さんの声がした。

竿が折れんばかりに、曲がっている。

ドラッグ音が鳴り、ラインが激しく引き出される。

「おおっ!おおっ!」

塩田さんの、声がする。

相手の走りが止まった瞬間に、巻き上げに掛かる。

「慌てないで、ゆっくり行きますよ」

私は、一番大きなタモを用意して、タモ入れの準備をする。

「サメやろうか…」

大きな不安と、期待の中に、茶色い獲物が海面に浮かんできた。

「おおっ!アラだ!」

タモ入れしたアラを、山下さんと二人掛かり出引き上げる。

103センチ、13キロの大物アラが、船上に横たわった。

「やった!捕ったど!」

思わず大声で、大海原に向かって叫んだ。

塩田さんとも、何度も祝福の握手を交わす。

これまで、”大物”に何度も掛け、船で追い掛け、逃げられた口惜しさが一度に晴れた。

「ウオー!」

ただ、ただ嬉しい。

「改めて、塩田さんおめでとうございます。そして、有り難うございます」

嬉しさ一杯で、港に帰った。

船着き場には、連絡した大磯先輩も、祝福に来られていた。

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