11月11日ニベ祭り

水平線から上がる朝日は、やっぱり美しい。

今日も、北東の風が強く吹き、ウネリもやや高かった。

カンパチを狙っていたのだが、ヒットしてくるのはニベが多かった。

潮は、沖に払い出す上り潮。

しかし、ベイト反応は日ごとに少なくなっている気がする。

「ベイトは何処に」と、最初にベイト探しに時間を要した。

「ベイト反応が有りました。ここから、始めましょう」

朝イチは、北西の風に乗せて、船を流していく。

潮の速さも、0.6ノット前後と丁度言い。

この言葉に少し、ホッとした。

今日、最初のアタリは太田さんに来た。

前アタリが来て、いきなり竿先が突っ込んだ。

「来た!」

その突っ込みの力は、凄い。

竿が良い感じで弧を描いている。

「ゆっくりやりますよ」

太田さんも、慌てずにゆっくりとやり取りを開始。

しかし「あっ…」

ラインが切られた。

「瀬に擦れたかな…」

残念…、逃げられてしまった。

気持ちを切り替えて、仕掛けを作り直す。

次のアタリは、誰に来るだろう。

「底取りは出来ますか」

ジグから入って、直ぐに一つテンヤに切り替えた久家さんに聞いてみた。

「底取りは、何度も出来ています」

その久家さんにアタリが来た。

ヒットした瞬間は「真鯛!」と、誰しもが思った。

「ゆっくりで良いですよ」

魚の姿が見えてきた。

「あれっ…、ニベだ」

裁くには、丁度良い大きさだ。

船首の方で竿を出していた太田さんにも、アタリが来た。

「ニベのようですね」

良型のニベが上がってきた。

「生き餌を使った釣りも、面白いですね」と、笑顔が良い。

出足としては、良い方かな?

でも、やっぱりカンパチが欲しい。

近くにいる仲間は、カンパチを上げて居るみたいだ。

船尾の方で竿を出していた下沖さんに、アタリが来た。

「これは、竿先がプルプルしますね。カンパチかも知れませんね」

「良い感じの引きをしますね」

今日最初の、カンパチの期待が膨らむ。

魚が見えてきた。

良型のカンパチが上がってきた。

「ホッとしました」

「これで、兎に角は全員安打ですね」

「あとは、ゆっくりやれますね」

ここから、ニベが連発する。

下沖さんの鋭いアワセが入った。

「おおっ、絶好調やね」と、久家さんの囃子の声。

楽しそうな下沖さんのやり取り。

太田さんにも、アタリが来た。

竿先が完全に海面に突っ込んで、強烈なアワセが入る。

見ているだけで、楽しそうだ。

これも、良型のニベだった。

「今日は、ニベ祭りですね」と、久家さん。

ポイントを浅場に移動してみた。

この時期に、期待の大きくなるヒラメ狙いだ。

久家さんに、大きなアタリが来た。

ヒラメにしては、走りが強すぎる。

暫くはやり取りが続く。

獲物が見えてきた。

「あっ…、サメだ…」

タモ入れはしたが、針を外して海に帰す。

次に、太田さんにアタリが来た。

ゆっくりと、魚とのやり取りを楽しむ。

みんなで「ヒラメなら良いな」と、笑顔で見守る。

「見えてきました。銀色に光ります」

上がってきたのは、ニベだった。

「ヒラメじゃなかった」と、船内に笑いが広がった。

この、太田さんのニベを締めに納竿した。