10月11日カンパチの群
「今日は、なんとか持ちそうですね」

「雨が降らない事を祈りましょう」

早朝の空は雨雲が広がって、いまにも雨が降り出しそうな気配があった。

雨を警戒しながら、船を走らせる。

沖に出ると、いつもは南東からはいるウネリが、北東からのウネリに変わっている。

潮は、上り潮が緩く北東に流れている…朝の内は…。

釣りを開始すると、時間経過と共に上り潮が速くなってきた。

渕上さんがジグで青物を、岡本さんがタチウオテンヤでタチウオを狙っていく。

潮色は、深い青色をしているように見えるが、曇り空の影響もあるだろうか。

渕上さん、岡本さんのラインを見ていると、着底毎にドンドンと沖に出ていく。

「下潮が速いですね」

釣り始めて1時間くらい経過した頃には、潮が1.5ノット前後で流れ始めていた。

そんな中に渕上さんにアタリが来る。

海面近くでヒットしたのは、ペンペンシーラ。

タモ入れすると、バタバタと暴れること。

直ぐに針を外して、海に帰す。

岡本さんにも、タチウオのアタリが来る。

「凄く、持ち上げられました」

仕掛けを食い上げられる、大きなアタリ。

餌の鰯が取られていた。

今度は、渕上さんに鯖のアタリ。

30センチクラスの鯖だが、思い切り走り回る。

なかなか思う釣果が出てこない。

その内に、ウネリが段々と高くなってきた。

水深90メートルあたりに出てみると、2メートルは超している。

時折、良い感じのアタリがお二人に有るのだが、針掛かりまで行かない。

高くなってきたウネリを避けて、内場に移動することにした。

内場に入って、ベイトを探す。

「ベイト柱があります」

直ぐに、渕上さん、岡本さんが竿を出す。

仕掛けをしゃくり続けていると、渕上さんにアタリが来た。

良い感じで、竿が曲がっている。

「叩きますね」

「どんな感じですか」

「良い感じの重みがありますね」

上がってきたのは、2キロクラスのカンパチ。

「やった、やっとカンパチが来ましたね」

渕上さん以上に、私が嬉しくてたまらない。

船を戻して、流し始める。

渕上さんに又してもアタリが来た。

今度は、良型のオキアジ。

釣り上げたときの太い縦縞が特徴だ。

鯖も、時折当たり始めた。

岡本さんにもアタリが来た。

「これも鯖かな」

そう言いながら、ドンドンラインを巻き上げていく。

上がってきたのは、良型のチダイ。

今日始めての、鯛だ。

今日は、内場の方がアタリが出ている。

船流していると「何か群れが居る」と、岡本さん。

みんなで海中を覗くと、2キロから3キロ近いカンパチの群が、渕上さんのホール中のジグにアタックしている。

「凄い、凄い光景や」

私も、岡本さんも、渕上さんも気持ちが高ぶってきた。

「シャクって、シャクって!」

声も大きくなっていくが、カンパチはジグにじゃれているだけの様に見える。

2度、3度とベイト周りを流すが、その後はカンパチの姿は見えなくなった。

「カンパチの群を確認しただけでも、楽しみが出てきました」

次回の釣行に期待して、帰港した。