8月17日時化の合間に
「出ても、2時間も釣りが出来ないかも」

「風が変わったら、諦めてくださいね」

そんな話をしながら、船を出した。

時化の合間の「今日までは、何とかなるかも」と、一縷の望みに掛けてみた。

ポイントに行くまでに、波の様子を確認しておきたい。

少し沖に出ると、南からのウネリに北東からの風がぶつかって、三角波が目立つ。

時折「おおっ…」と、思うくらいに波が盛り上がってくる。

どうにか、ポイントに入る。

直ぐに釣り開始。

いつ状況が変わるかも知れないと思うと、時間を無駄にしたくない。

宮田さん、岡本さんの第一投に、アタリが来た。

宮田さんには、イトヨリダイが来た。

岡本さんの初卸の竿には、竿先を叩くアタリ。

「真鯛かな」と思ったが…、残念ながら針はずれ。

潮は、上り潮が緩く流れている。

ベイト反応も、海底から10メートルくらい浮き上がったところに、ゴマを散らしたような反応が出ている。

仕掛けをジグに変更した、岡本さんにアタリが来た。

「何か、凄く重いです」

歯を食いしばる様にして、リールを巻く。

やがて、海中に見えた魚体は「マグロだ!ヨコワだよ」

岡本さんに一遍に緊張が走った。

浮かしては、走られる。

2度、3度と繰り返し、無事にタモに治まった。

5キロ弱のキハダマグロだ。

5キロクラスは、マグロの大きさから言えば「小型」だろうが、その引きは強くて面白い。

「凄い魚を釣りました!」と、笑顔が満開。

船に上げた瞬間に、三人で「ヤッター!」とガッツポーズ。

これを見て、宮田さんにも気合いが入った。

「いま、なんか当たりました」

何かがバイトしてきた。

「今度は、喰ってきた!」

もの凄い引きに耐え、頑張ってラインを巻き上げている。

暫くは、1メートル巻いては、5メートル走られる。

これの繰り返しを、何とか凌いでいる。

「もっと、体力を鍛えておくべきだった」

それでも、少しずつ獲物が浮いてきた。

海中で、銀白色に光る。

「鰤だ!」

頑張って、大物鰤を釣り上げた。

95センチ、8.2キロの丸々とした鰤だ。

「やった!ヤッタね!」

岡本さんと宮田さんの笑顔が爽やかだ。

「さあー、これから」

そう思ったが、段々と北東の風が強くなり、ウネリも波も高くなってきた。

沖合には、雨の柱が何本も見え始めた。

「残念だけど、この場所から移動しましょう」

高くなってきた波に、強くなってきた北東の風を警戒。

岡本さんの初卸しの竿にアタリが来た。

上がってきたのは、コトヒキ。

「初卸しにアタリが来て、良かったですね」

このコトヒキを、今日の締めとした。

「風が益々強くなってきました。帰りましょう」

11時前に、帰港した。

「ここまで、何とか粘りましたね」

帰りの船は、時化を忘れる笑顔が一杯だった。