1月4日 ウネリを越えて

沖に出れば出るほど、北東からのウネリが高くなる。

「ウネリが高いね。思うポイントには行けないかもね」

ウネリを斜めに越えないと、船首が海水を掬ってしまう。

それくらいのウネリがある中を、走っていく。

「風が北西かと思ったら、北東になってるね」

船を停めると、風が北東になっている。

「こりゃ、これ以上は沖に出られないかも…。しばらく、ここで竿を出してみよう」

魚探には、なんとかベイト反応は出ている。

「ここでアタリが出ると良いけどな」

気弱にそんな事を考えていると、脇坂さんにアタリ。

「エソではないと思うけど…」

ドラッグ音も鳴らない。

しかし、上がってきたのは2キロクラスのハガツオ。

「良い型のハガツオやね」

すると、私の従兄弟の信司にもアタリが来た。

イトヒキアジだった。

「潮が余り動いてないかな」潮の動きの方が気になった。

暫くすると、再び信司にアタリが来た。

「結構引きますよ」

海面に姿を見せたのは、ハガツオ。

2キロクラスの良型だ。

「今は1月なのに、魚は夏やね」と、笑顔になる。

今度は、脇坂さんにアタリが来た。

カメラを構える暇もない位の早さで魚が上がってきた。

70センチ超のサワラだ。

信司にもアタリ。

これも70センチ超のサワラだった。

「今度はサワラが寄ってきたかな」

沖に目をやると、潮目が入ってきている。

「白波をたてて、潮目が来ているね」

北東の風と、潮目の波の方向が同じになっている。

潮目の中に入ったら、波が相当高そうに見える。

潮目を見ていたら、信司にアタリが来た。

「今日一のアタリかもしれない」

「鰤が来たか」と思わせるくらいの突っ込みだ。

しかし、海面に姿を見せたのは大きなハガツオ。

計量すると、3キロ近くある。

「良い型やね。丸々してるね」

沖からの潮目に船が入った。

時折、2メートル近い波に船が持ち上げられる。

その分、横揺れも大きくなる。

船縁にぶつかる波のしぶきが上がる。

そんな中で、脇坂さんにアタリ。

70センチ超のサワラ。

「海の中は、夏やな」と、大笑い。

ウネリを乗り越えて、何とか竿を出せたポイントの海は夏の海だった。