12月10日 粘れば通じるもんだ
今日の釣りは、動かない潮に振り回された。

一流し目に確認したベイト反応が、二流し目には消えている。

「動きが早いのは、鯖かな?」

等と、最初の内は思っていた。

しかし、暫くすると反応はそのまま残っているが、アタリが来ない状態に変わる。

魚探を見ると、潮の流れが時折0.0ノットになったりしている。

何とかしなくてはいけない。

塩田さんに最初のアタリが来たのは、釣り初めて1時間以上経ってから。

赤甘鯛の塩焼きサイズ。

時々は、カイワリが当たってきたりする。

カイワリも良型だが、あくまで狙いは青物。

「活き鰺を使ってみますか」

生き餌用の道具を準備して、鰺の一匹掛けをベイトの群れに向かって落としていく。

流すコースを変えてみても、なかなかアタリが出ない。

他の所にいる仲間に連絡を取ってみても「潮が動かない」と、苦戦しているようだ。

潮が動かなければ、移動して潮の変化を捕らえたい。

「沖に出るか、潟に入るか」

こんな状況の時は、腹をくくる覚悟で動く。

「沈み瀬の多いポイントに移動しましょう」

ポイントを移動途中に、立ち上がりのベイト反応が出た。

直ぐに生き餌の鰺を落としていく。

暫くして、塩田さんにアタリが来た。

「漸く来ましたね」

上がってきたのは、アカヤガラ。

「潮が動いていない証拠ですね」

美味しい魚なのだが。潮の動きの悪さが分かる。

「もう一度、ポイントを移動します」

大きな沈み瀬の、掛け上がりを狙う。

小さなベイト反応が出ている。

鰺の生き餌を落としてみた。

この時ばかりは、直ぐにアタリが来た。

いきなり竿先が突っ込んだ。

「来た!来ました」

何度も、竿先が海面に突っ込む。

上がってきたのは、2キロ近い良型のカンパチ。

「やっと来ましたね、粘れば通じるもんですね」

と、嬉しくなる。

「新しい道具に、青物魂を入魂出来ました」

と、塩田さんも笑顔になれた。

「最後の最後で釣れるのは嬉しいですね」

笑顔で帰港した。