10月12日 昨日をリベンジ

水平線からお日様が昇る頃には、せっせとジグをしゃくっていた。

「昨日は口惜しい思いをしたからね。今日は頑張るよ」

稲用さんと並んで、ジグをしゃくる。

北西の風が吹いているが、北東からの波長の長い大きなウネリは連日のこと。

ベイト反応は、出たり出なかったりと安定性は余り無い。

それでも「もしかしたら、この辺りならベイト反応があるかも」と、予測して流すコースを決める。

潮は、上り潮が流れているが、濁りが入っている。

上り潮で濁った潮、こんな状況の中で、ひたすらジグをしゃくる。

釣り始めて1時間ほど過ぎた頃、私にアタリが来た。

最初のアタリは、ググッと重みが竿に乗った感じだ。

「走りますか」

「いや、ドラッグは出ないね」

上がってきたのは、1キロ超のカンパチがダブルヒットしていた。

「久し振りのカンパチダブルや」

昨日は、逃げられてばかりだったので、少しだけホッとした気持ちだ。

今度は、稲用さんにアタリが来た。

「重いけど、走りませんね」

ゆっくりと巻き上げていくと、ピンク色した魚影が見えてきた。

55センチの良型真鯛が、上がってきた。

同じベイトを3度流しては、移動していく。

次のベイトを探すが、なかなか思うように出てこない。

「古い魚礁の回りを見てみましょう」

数本のベイト柱が出てきた。

「やってみましょう」

ジグを落とすと、直ぐにアタリが来た。

上がってきたのは、私の身長(175センチ)ほどのアカヤガラ。

「今日は、帰ってもらいましょう」と、直ぐに放流。

この直後に、私にアタリが来た。

「青物の走りに似ているね」

上がってきたのは、1.5キロ程のハガツオ。

「ハガツオが来た。嬉しい」

稲用さんにも、アタリが来た。

上がってきたのは、良型のイトヨリダイだった。

暫くすると、又しても私にアタリが来た。

最初の突っ込みは青物を想像させたが、途中から竿先が叩き始めた。

上がってきたのは、雄の真鯛。

57センチの良型だ。

この時に、沖から潮目が入ってきた。

その潮目の中に入って、仕掛けを落としてみた。

なかなか着底が取れない。

「潮が速いでね」

「潮速が2.7ノットある。釣りにならんね」

直ぐに、移動する。

丁度、満潮の潮止まりになっていた。

1時間ほどは、アタリが出ない時間が続く。

干潮の潮が動き出して、直ぐにアタリが来た。

私と稲用さんと、同時にヒットするダブルヒットになった。

稲用さんは、2キロ近いハガツオ。

私には、1.5キロ程のカンパチが来た。

「同時ヒットは、楽しいし気持ちがいいね」

と、笑顔になる。

しかし、潮が動き始めたと思ったら、南風も強くなり始めた。

ラストにしようかと、ベイトを探して仕掛けを投入。

稲用さんに、強烈なアタリが来た。

竿先が、海面に向かって突っ込む。

すると獲物は、そのまま瀬に入ってしまった。

私にもアタリが来た。

1キロほどの、キジハタが来た。

稲用さんの獲物は、瀬に入ったまま出てこない。

暫く待っていると「あっ…」針が外れてしまった。

「あー、口惜しい…」

もう少し粘っていたかったが、南風に白波が立ち始めた。

「残念だけど、今日は帰ろう」

昨日に続いて、口惜しい思いを残して帰港した。