１２月５日　始まりは苦戦から
いつも思うのだが、夜明け前の海を白波立てて走るのは、気持ちがいい。

海が凪となれば、最高の気分になる。

よく言う「滑るように走る」となれば、「よし、今日も頑張るぞ」と気分が高揚してくる。

昨日の午後からの大ウネリが、治まっていた。

「最初に鯛ラバをして、その次にスロージギングをやってみたいのですが」

「分かりました。頑張りましょう」

瀬川さんを乗せて、ポイントめがけて夜明けの海を走る。

ウネリの無い海を走ると、ポイントに着くのも速い。

「このポイントの沈み瀬はこんな形です」

ベイトもいる。

潮も北東に向かって、ゆっくり沖に払い出す上り潮。

しかし、ここから瀬川さんが苦戦することになるとは、想像もしていなかった。

鯛ラバを落としていくと、仕掛けは真っ直ぐに落ちていく。

潮の流れは０．５ノット平均。

「良い感じで鯛ラバが入っているけど…」

なかなかアタリが来ない。

「来た」と思ったら、エソ。

「君には用はないよ」と、直ぐに帰ってもらう。

１つのポイントを５～６回ずつ流すコースを変えて攻めていくが、上がってくるのはエソばかり。

「今日は、エソに魅入られてしまったか…」

「じゃ、一寸大きめの魚礁があるポイントに行きましょう」

船を南東に向けて走る。

北西の風がやや強く、白波が船の窓に当たる。

９ノットくらいで走り、海底の変化の様子を見ながらポイントを目指す。

途中にベイト柱が出てくると、そこでジグを落としてみたくなる。

その衝動を抑え、目指すポイントに到着。

潮は０．４ノットと遅くなっている。

魚探で魚礁を確認すると、凄いベイトの影が映っている。

しかし、直ぐにアタリが出てこない。

３流し目「なんか来た」と、瀬川さんが針掛かりを確認しながら巻き上げていく。

上がってきたのは、小型の真ハタ。

「ちょっぴり嬉しいですね」

「写真を撮りましょう」と言うと、恥ずかしそうに笑顔が良い。

「次はガツンと来るかもですね」

次に移動した、少し浅場のポイントで一投目に大当たりが来る。

「良い引きしますよ。今日一の強いアタリです」

ドラッグ音がなり、ラインが出ていく。

気持ちの良い、緊張感が張りつめる。

船首に立ち、獲物との差を詰めていく。

「鯛です！」

瀬川さんが、獲物の正体を教えてくれる。

２キロ超の雄の真鯛だ。

口と胸びれに針が掛かっており、横向きになっていた分、重量感があったようだ。

「鯛が釣れて嬉しいです」と、瀬川さんの笑顔が良い。

ここから、ちょっぴりペースアップ。

型の良いレンコダイが、連続して上がってきた。

「ジグに戯れるのは、このレンコダイみたいですね」

又アタリが来た。

「今度もレンコダイかな」

上がってきたのは、指３本半くらいのタチウオ。

「良かった。美味しい魚ですよね」と笑顔。

息子さん達が魚が大好きとの話だったので、喜んでもらえるかもと笑顔。

始まりは苦戦だったが、後半は上り調子。

嬉しい、楽しい気持ちで帰港した。

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