幻の魚、サクラマス【大伴渓児氏連載記事No.12】 | カンパリプラス

掲載日: 2013/04/01

幻の魚、サクラマス【大伴渓児氏連載記事No.12】

くヤ、ヤバイい! いや、既にヤバいを通り越して大変です。

何が?

3月も過ぎ、解禁されたサクラマスの釣果写真アップして釣行についてコラムを書こうと思ってたのですが、つ、つ、つ、釣れない・・・(汗)
二十年ほど前には割りと高確率で、それもトラディショナルにミノーイングではなく、スプーンやワームで釣れてたのに・・・ 舐めてました(汗) 正に幻の魚サクラマスです!

陸封型が渓流に棲むヤマメであり、海に下る降海型が大型となり、産卵の為に鮭の様に回帰してきた個体をサクラマスと呼びます。

ヤマメの大半は陸封型で降海型は少なく、大海に出ると外敵は半端なく多い。 その為、河川へと溯上する個体は更に減り、また淡水へと溯った個体は口を使う事も激減する。 それを禁漁期の定められた河川で釣ろうものならもう幻と呼ばれるのも頷けます。

ここ但馬では豊岡の円山川、香住の矢田川、浜坂の岸田川が有名で、漁協さんのお話しでは溯上する早い第一陣は年末年始くらいだそうだ。

残念ながら釣り人は、ここ但馬の解禁日、3月1日にならないと竿を出すことさえ出来ないので我慢に我慢を重ね、その日を楽しみに待ちわびる事になるのだか、如何せん幻の魚(笑)

キャッチ出来る個体数は釣り人の一割にも満たない様に思う。 ショップさんの釣果情報などでキャッチされている写真などを見ると幸運だったのだと羨むばかりである。   青い海に澄み渡る空、荒々しい磯場に立ち豪快に竿を振るのも気持ちが良いが、木々の合間を縫う様に流れる川面に身を置き、時には木洩れ日を、時には川のせせらぎや鳥のさえずりを聞きながら釣果そのものは元より、シチュエーションを楽しむ釣りもまた一興なのだ。

感覚的に言うならば、海釣りは男性的であり、川釣りと言うよりもサクラマス釣りは女性的と言ってしまうと語弊があるが、キャッチ&イートの多い海釣りとは反対にキャッチ&リリースが前提となるサクラマス釣り。 自然を愛でながらのトラディショナルなスポーツフィッシング的要素を含んだトラウトゲームと言っても良いだろう。 釣りの古書などを紐解くと、ハンチングにネクタイを締め、釣りベストにウェーダーといったスタイルで、ある意味伝統的釣りなのだとも思う。

但馬では海からの第一堰堤まで口を使う事も比較的に多く主なポイントとなり、、渓流の狙い目よろしく落ち込み、瀬、トロ瀬、溜まりといった所に分があり、闇雲にキャストを繰り返すよりも流れの変化のあるピンスポットを狙う方が確率は上がる様だ。

人工的な滑らかな流れは存在せず、自然界の水の流れには必ずヨレ(変化)が生じます。 ストラクチャーに水が当たれば表と裏では違う渦やヨレが生まれます。

ルアーもシャロータイプかディープタイプかでそのヨレのどの層を流すかによって勝負が分かれたり、また演出するのは小魚などのベイトなのか虫なのかで流し方も変わってくるのです。

ボクのスタイルとしてはそれらトラディショナルやスタンダードなものからは邪道と呼ばれるかも知れませんが、自動的なプラグよりもメタルジグやワームと言った他動的要素で動くルアーが好きで使っており、小魚の様にスイミングさせたり、虫や甲殻類の様に流したりしている。   特に流れの上若しくは流れに直角にキャストして扇形に誘うと言った事はせずに、やや流速があり、それに伴う比較的に高活性(口を使う)個体が居るであろう変化のあるポイント、また水面の流れとは違う底の流れ(底波)にルアーを入れ、ピンスポット若しくはスラックを出したり上に射ってスラックをとりつつ流れに平行に探る釣り方が好きであり、渓流の餌釣り的な流し方、ナチュラルドリフト的な釣り方をします。   これはエギングの際に、海で潮流のあるポイントを攻める場合のドリフトの釣りと同じであると言うか、渓流の釣りをエギングに応用していると言った方が正解かも知れないボクが最も好きで得意としているメソッドでもあります。

大事なのは底の流れ(底波)にルアーを入れ、自然に流すかに掛かっていると言うことである。 賛否両論はありますが、好きなもんはしゃ〜ないんす(笑)

ん?川の釣りってカンパリは海の釣りサイトじゃないの?と御思いの貴兄。 私的には海水、淡水のどちらで多く過ごしたか。 また第一堰堤までのフィールドであると言う限定においてソルトの対象とさせて頂きました。

どうしても海で!との御意見も承りましょう! 溯上する前のサクラマスは河口付近に回っていますので潮通しの良い水深のある漁港や磯場で釣れるのです。 こちらは禁漁期は関係ないので解禁前から狙えますが、どちらかと言うとこの四月くらいからの方が食いが良い様にも感じます。 またこれから梅雨前くらいまでですが、アマゴの降海型のサツキマスと混じり狙えます。

河川に溯った個体より脂も多く、サーモンをあっさりとさせた様な赤身の味で美味! どちらかってぇ〜と食いしん坊なボクは海で釣れるトラウトの方が好きなんですけどね(笑)
中層での釣りとなりますので、ウエイトのあるスプーンやワームならフロートリグがお勧め。 ただやはり幻は幻ですのでそうそう数の上がるものではありません。 これからロックフィッシュもボチボチと始まりますので、その合間に少し狙って当たればラッキーくらいに思って下さいね♪

まっ、一般的な価値観的としては河川のサクラマスの方が十倍以上の価値がある事は御了承下さい(笑) でも海にしろ狙って釣るなら魚に上下は無いですね!

そうそう!タックルですが、専門的にやるならばキチンとしたサクラマス専用タックルを御用意頂くのがベストですが、ちょっとだけやってみたいな!ってな方は流用で十分に楽しめます。 その最たる物として、今ではエギングタックルと言う凡用性の高いロッドがあり、リールやライン、リーダーなどかそのまま使用できます。 硬すぎず柔らか過ぎずのミディアムタイプっちゅうか、スタンダードなアクションのロッドなら最適ですので釣りの幅を広げる為にも一度チャレンジしてみてやって下さいね!

今回の釣果写真は豊岡市の山下釣具店さんの最新サクラマス釣果です。

くぅ〜!自分の釣果写真で飾りたかったっす(涙)
今回のコラムで一年完了となります。 御愛読頂きました皆様、本当にありがとう御座いました。 期日とかの決まった連載とかは大の苦手で、オヤジの呟きが如きコラムでしたが少しは楽しんで頂けたのでしょうか?
主に山陰日本海は但馬、丹後の旬の釣り物に併せ、島遠征や釣りサイトながら大好きな温泉やラーメンについても書かせて頂きました。 今思えばタックルについても書きたかったなとかも思います。

またいずれ何処かでお目に掛かる事もあるかとは思いますが、その時にはまた初老のオヤジながら宜しくお願い致します。

一年間可愛がって頂いた読者の皆様、またお世話になりましたカンパリスタッフ様、本当にありがとう御座いました!

大伴渓児

フィッシングショー2021